たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【はじめてのひとり旅の宿】旅宿 上松や <長野・別所温泉> 湯のまちさんぽも楽しい宿

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 上田市
【はじめてのひとり旅の宿】旅宿 上松や <長野・別所温泉> 湯のまちさんぽも楽しい宿

「大浴場ろくもん」の石の露天風呂。6種の湯殿では弱アルカリ性単純硫化泉をかけ流す

ひとり旅プランが充実、真田家ゆかりの湯の町の宿

東京駅から北陸新幹線で約1時間半、上田駅で上田電鉄に乗り換え30分ほどで終点の別所温泉駅に到着した。日常から離れたいけれど、あまり遠いのは不安と感じるひとり旅初心者にとって、ほどよい距離だ。

別所温泉は1400年の歴史を持ち、「信州の鎌倉」と呼ばれる塩田平にある信州最古の温泉地。かわいらしいミントグリーン色の駅舎から、無料シャトルバスに乗って「旅宿(たびやど) 上松(うえまつ)や」へ。ひとり泊のサービスが充実していると聞いて選んだ宿だ。

「30年ほど前、先代が旅行をした際にひとり客を受ける旅館はほとんどありませんでした。そこで今後ひとりのお客様が増えると積極的に受け入れを始め、プランの充実を図ってきました」と社長の倉沢晴之介さん。

スタンダードなプランから食事をグレードアップさせた二つのプラン、男性向け・女性向けのプラン、上田ゆかりの真田家にちなんだ戦国大名プランまで、好みに合わせて選べる。客室も8畳~10畳の和室から、10畳の女性用ルーム、ベッドのある洋室、和モダンな真田戦国部屋まで幅広く用意されていてうれしい。

03●一人旅専用_真田戦国部屋sanada1.jpg
ひとり旅専用の真田戦国部屋。赤備えをイメージしたインテリアが印象的

女性向けプランで追加料金なしの色浴衣に着替え、食事の前にひと風呂。大浴場と露天風呂は時間により男女入れ替え制で、スマホなどオンラインで混雑状況が確認できる。柔らかいお湯で、湯上がりは肌がツルツルに。まさに美人の湯だ。

夕食は信州や地元・塩田平の新鮮な食材を使ったオリジナルの和会席。メインはプランによって「信州産豚のしゃぶしゃぶ」や「信州産りんご和牛の石焼」などが提供され、この土地の食の豊かさを味わい尽くした。

04●210805_0179.jpg
和会席の夕食。冬場は地元産の紅しぐれ大根や上田みどり大根、つくね芋なども食卓を飾る

05●ダイニング幸1.jpg
夕食や朝食をいただく「旬恵ダイニング幸」

ロビーのウェルカムドリンクは20時まで地酒やワイン、コーヒーなどが無料。貸切風呂で湯浴み後、湯上がり処の壁面や廊下で目にした真田家をテーマにした切り絵のアート作品も見応えがあった。部屋では上田や別所温泉が舞台となった映画のDVDを鑑賞し、自分時間を満喫できた。

02●貸切_たけのゆ_3.jpg
「貸切風呂たけのゆ」はチェックイン後の予約制、35分2750円。プランによって1回サービスの特典がある

翌日はゆっくり11時にチェックアウト。「周辺の見どころはどこも徒歩圏内ですよ」と倉沢さんのおすすめを巡る。風情ある石湯は真田幸村の隠し湯。開創1200年の厄除(やくよ)けの北向(きたむき)観音や、八角形の三重塔がある安楽寺などにもお参りして御朱印をいただこう。上松やが運営する古民家カフェ「Smooth & Living(スムース&リビング)」でひと休みしながら、いつか再訪しようと心に決めた。

07●足湯2.jpg
湯川沿いにある「足湯ななくり」

08●210805_0200.jpg
懐かしい雰囲気の温泉街。馬肉うどんで有名な食堂やまんじゅう店を巡るのもおすすめ

🍨ハレTerraceお多福

09●slide_02.jpg

北向観音の参拝時に立ち寄りたいイタリアンジェラート専門店。築100年以上の建物は別所温泉が舞台の映画「男はつらいよ」第18作のロケ地にもなった。長野県産牛乳を使用したジェラートはシングル450円、ダブル550円〜。常時15種以上がそろう。
■10時〜16時30分/不定休/上田電鉄別所線別所温泉駅から徒歩10分/TEL:0268-75-0839

文/堀内志保


旅宿 上松や
TEL:0268-38-2300
住所:上田市別所温泉1628
【ひとり泊データ】
条件:通年可
客室:トイレ付き8~10畳和室など(全32室)
食事:夕食=ダイニングまたは部屋食、朝食=ダイニング
<料金(税込)>
素泊まり 平日1万2800円〜/休前日1万7200円〜
1泊朝食 平日1万4450円〜/休前日1万8850円〜
1泊2食 平日1万7750円〜/休前日2万2150円〜
※2人1室利用は1泊2食1万4450円~
交通:上田電鉄別所線別所温泉駅から徒歩15分。別所温泉駅から無料送迎あり(要予約。土・日曜、休前日は14時〜16時の電車の到着に合わせて無料シャトルバスを運行、予約不要)/上信越道上田菅平ICから17キロ

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年3月号)
(Web掲載:2025年11月23日)


Writer

堀内志保 さん

埼玉県生まれ。1999年から2年あまり社会人類学の調査でアフリカ大陸の沖に浮かぶマダガスカル島に滞在。『マダガスカルを知るための62章』(明石書店)では、市場と割礼祭の章を担当した。2003年から宮城県に住み、写真家の夫とともに東北各地の自然や歴史、食、温泉、手仕事などに触れ、新聞や雑誌に記事やエッセイを発表している。

Related stories

関連記事