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【旅と駅弁・駅麺】コラム 駅弁を「登録無形文化財」に!~駅弁最新事情~

【旅と駅弁・駅麺】コラム 駅弁を「登録無形文化財」に!~駅弁最新事情~

東京駅「駅弁屋 祭」のディスプレー(写真/ピクスタ)

今、駅弁を国の「登録無形文化財」にしようという取り組みが始まっている

2025年10月5日、京都鉄道博物館でJR西日本の主催、日本鉄道構内営業中央会(中央会)などの後援による「駅弁シンポジウム」が開かれた。テーマは「駅弁のいまむかし、そしてこれからについて考える」。実は今、駅弁を国の「登録無形文化財」にしようという取り組みが始まっている。

元々は24年度、広島を拠点に駅弁を手掛ける広島駅弁当株式会社によって、文化庁の「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業として、広島をモデルに駅弁の調査・研究が始まった 。25年度はJR西日本が主体となってエリアを西日本全体に広げ、よりスケールアップする形で調査・研究が行われている。今回行われた「駅弁シンポジウム」も、その取り組みの一環。いずれは全国へと広げていきたいという思惑もあるようで、東日本エリアにあるさいたま市の鉄道博物館にも今回のシンポジウムの模様はライブ配信された。国の文化財を目指す以上、全国的な広がりは不可欠である。

この調査・研究で気になるのは、やはり「駅弁とは何か」という根本的な定義である。それというのも、これまで「駅弁」はとても曖昧な存在として推移してきた。国鉄時代は構内営業者として認められた業者が駅の中で販売していた弁当であったが、JRの発足後は、従来の構内営業者以外の参入もあり、エキナカの商業施設の開発による惣菜弁当の販売やキヨスクのコンビニ化が進んだ。従来からの業者の団体である中央会も、1993年に「駅弁マーク」を制定し、加盟社の弁当に表示するなどブランド化を進めてきたが、「駅で売っている弁当はみんな駅弁でしょ?」という程度の認識の人は少なくないだろう。

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新大阪駅「旅弁当 駅弁にぎわい」には、幕の内系、肉系、魚系などさまざまな人気駅弁が並ぶ(写真/ピクスタ)

「駅弁」の定義とは?

シンポジウムにおける質疑応答では、今のところ、これらの調査・研究においては、「鉄道会社が認識した、安全性に配慮した弁当」という位置付けがなされているそうだ。私には、とても納得がいく定義だが、通訳が必要なのは、「安全性に配慮した弁当」という表現かもしれない。簡単に言い換えるなら、「ある程度、日持ちがする弁当」となろうか。

例えば、茨城・水戸を拠点に駅弁を製造する「しまだフーズ」は、11年にエキナカの惣菜弁当から駅弁に参入した業者であるが、惣菜弁当と駅弁は、〝全く別の食べ物〟という認識だと伺ったことがある。つまり、安全な日持ちのする弁当、〝冷めてもおいしい〟弁当を作る上では、駅弁の作り手ならではの技が必要というわけだ。これらの技には鉄道草創期から受け継がれてきたものもあり、各駅弁業者の食材、調味料、調理法のこだわりといったものも含まれる。

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しまだフーズの駅弁「常陸牛 牛べん」(写真/望月崇史)

特に米については、業者ごとにこだわりのポイントが異なる。品種やブレンドの比率、水の浸し方、炊飯方法まで、各社ならではの哲学があると言ってもいいだろう。「駅弁」には日本独特の鉄道文化と食文化という二つの文化があるのだ。

駅弁の「登録無形文化財」への道は、まだまだ始まったばかり。まずは地元の人々が、「おらが町の駅弁」として誇ることができるか。そして、駅弁の技へのリスペクトの気持ちを多くの人が共有できるか。駅弁文化を次の世代へと繋(つな)ぐためにもより深い調査・研究、さらにはメディアに携わる人間も、丁寧な駅弁情報の発信が求められている。

文/望月崇史(駅弁ライター)


※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年12月号)
(Web掲載:2026年1月28日)


Writer

望月崇史 さん

1975年、静岡県生まれ。放送作家。全国の駅弁食べ歩きは約20年、5000個以上に及ぶ。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマに記事を執筆している。日本旅のペンクラブ所属。

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