たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

豊かな自然と歴史が育む食文化を訪ねて おいしい静岡(2)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 静岡県
豊かな自然と歴史が育む食文化を訪ねて おいしい静岡(2)

コートいらずのポカポカ陽気だった2月中旬に、静岡のガストロノミーを巡る旅に出かけました。1300種を超える魚類が生息する駿河湾に面し、日照時間が長く、温暖な気候に恵まれた静岡県は、農林水産物339品目、水産物100品目と生産される食材が多種多様で「食材の宝庫」とも言われます。そんな静岡県の中部エリア(静岡市・藤枝市)で見つけた歴史薫る食文化をご紹介します。

豊かな自然と歴史が育む食文化を訪ねて おいしい静岡(1)から続く

静岡といえばお茶。利き茶体験で知る奥深さ

静岡のガストロノミーを巡る旅2日目は、生産量全国2位のお茶を学ぼうと藤枝市へ。1791年創業の製茶問屋「真茶園」で、複数のお茶を飲み比べて産地や種類を当てる利き茶を体験した。全国に30人もいないという「茶審査技術10段位」を持つ真茶園茶町本店店長の小泉純也さんに、川根や牧之原といった県内のおもな茶園や、煎茶、玉露などお茶の種類、製茶工程などについて教わる。

2026-02-20_02-19-03_319.jpg普通煎茶(左)、深蒸し煎茶(右)、玉露(奥)の茶葉を見ながら飲み比べる
2026-02-20_02-37-12_886.jpg一番右の玉露は水色(すいしょく)が薄いものの、ひと口でうまみとコクが口いっぱいに広がる。藤枝市岡部町は京都の宇治、福岡の八女と並ぶ三大玉露産地

2026-02-20_09-54-08_694.jpg続いて登場したのが抹茶3種。抹茶はここ数年、欧米やアジアを中心に世界的なブームを巻き起こしており、国内でもなかなか入手困難だという。1キロあたり1万円、4万円、10万円の抹茶が並び(上の写真、見た目で分かりますか?)、まず色を確認する。キロ10万円の抹茶は色が鮮やかな気がした。

2026-02-20_10-07-16_213.jpgどれが1万円、4万円、10万円の抹茶か飲んで当てる

見た目の違いを確認したら、キロ1万円→4万円→10万円と順に試飲し、味わってみる。見事に33様で、水色、苦み、風味、コクがそれぞれまったく違う(と、この時は思った)。キロ10万円の抹茶とは苦いのにまろみがあり、複雑なお味なんだなぁと、感激するも束の間、続いて、値段は知らされずに3杯出てくる。これらがおいくらの抹茶か当てるのだ。

「???」。たった今、値段を知らされた上で試飲し、その違いに感動したばかりなのに、1杯目から分からない。「え~!難しい!」。結局、1万円のものしか当てられなかった。お茶って面白いなぁ。その奥深さを存分に体感できた。

2026-02-20_10-48-54_589.jpg真茶園茶町本店
10時~18時/日曜休(GWは無休)/藤枝市茶町1-10-29TEL054-641-6228


2026-02-20_13-10-10_934.jpg丁子屋の趣ある建物

浮世絵に描かれた東海道丸子宿の名物に感動!

お昼は、歌川広重の「東海道五十三次」にも描かれた丸子(まりこ)のとろろ汁。今も旧東海道沿いで400年の味を守り続ける「丁子(ちょうじ)屋」を訪れた。風情ある茅葺(かやぶ)き屋根の建物は浮世絵そのまま。のれんをくぐると、意外と中は大きい。増築が繰り返されたのだろうか、客席は180を数えるという。

1596(慶長元)年、丁子屋平吉がここ丸子宿に茶屋を開き、とろろ汁をふるまったことが始まりです。東海道の難所の一つ・宇津ノ谷峠を手前に控え、精を付けておこうという旅人でにぎわいました」とは、14代目丁子屋平吉こと、社長の柴山広行さん。

2026-02-20_12-28-30_907.jpg「本陣」は、とろろ汁、麦めし、味噌汁、香の物、薬味、おかべ揚げ、珍味2種、甘味が付いて2530

座敷に上がり、早速、とろろ汁をいただく。おひつには2人前はありそうな麦めしがたっぷり。茶碗によそい、とろろをかけた麦めしを頬張ると、ふんわりカツオだしが香り、自然薯のまったりとした濃厚な味わいが広がる。おいしい。驚くほどするするとお腹に入っていく。付け合わせの「むかごの梅和え」が口の中をリセットしてくれて、どんどん箸が進む。

自然薯は地元の18軒の農家から仕入れ、自家製みそと焼津産の鰹節など素材にもこだわる。シンプルな味わいだからこそ、ごまかしがきかない。歴史とともに400年受け継がれる誠実さもおいしさの鍵だとしみじみ思った。

丁子屋
11時~14時(土・日曜、祝日は~15時、1630分~19時)/木曜休(月末のみ水・木連休)/静岡市駿河区丸子7-10-10TEL054-258-1066


2026-02-20_13-55-56_667.jpg練乳なしでも十分甘い久能山石垣イチゴ

甘酸っぱくておいしい!イチゴ栽培の元祖・久能山石垣イチゴ

食後のデザートは大好物のイチゴ。静岡市駿河区の国道150号沿いは「久能いちご海岸通り」と呼ばれ、多くのイチゴ農家が点在。全国的にも珍しい石垣栽培が行われている。そのうちの一軒、ヤマサン農園を訪ねた。

「ここ、久能山東照宮のお膝元で始まったイチゴ栽培は、1900(明治33)年、宮司の車夫をしていた川島常吉さんが、宮司からイチゴの苗を分けてもらったことに始まります。宮司は会津藩・松平容保(かたもり)の次男で、アメリカ大使館経由で苗を譲ってもらったそうです。これが日本のイチゴ栽培の始まりとも言われています」と、代表取締役の海野保さんに教わる。

石垣栽培は、石を一定の角度に積み重ねて、その隙間にイチゴの苗を植えていく。当時はビニールハウスがないので、石の蓄熱性と輻射(ふくしゃ)熱を上手に活用し、静岡という温暖な土地柄、冬の栽培がうまくいったという。

2026-02-20_13-48-38_432.jpgおいしすぎて止まらないイチゴ狩り

ビニールハウスに入ると、フワッとイチゴの香りが広がり、とろろ汁でお腹いっぱいだったことを忘れる。「かおりの」という品種で、その名の通り香り高く、甘酸っぱくておいしい。オリジナルブレンドの練乳をもらっていたが、付けなくても十分甘い。気付けば30個近くも食べていた。恐るべしおいしさ……久能山石垣イチゴ。

ヤマサン農園
カフェは1130分~17時/月曜(祝日の場合は翌日)休/静岡市駿河区西平松195TEL054-237-4874
※イチゴ狩りは団体向けのみ。カフェではイチゴのかき氷などが味わえる。202512月、静岡駅にイチゴ販売やカフェメニューの提供を行う店舗もオープン。

ここも見たい!藤枝の歴史スポット

タイトルなし.jpg東海道岡部宿を代表する宿泊施設「大旅籠柏屋(おおはたごかしばや)」。江戸時代後期の建物に、旅籠の様子や暮らしぶりが分かる資料を展示。旅籠は1200文~300文(今の5000円~8000円くらい)で、部屋食だったそう。食事の内容が意外と豪華だったのに驚いた

文・写真/中 文子

Web掲載:2026317日)

Writer

中 文子 さん

神戸生まれの大阪育ち。学生時代に旅に目覚め、アジア(おもに中国)や国内各地を探訪。旅を仕事にできたら面白そうだ!と旅行読売出版社に入社。広告課、編集部、メディアプロモーション部(広告)を経て、22年4月からメディア編集部所属。温泉とお酒、楽器演奏が大好き。

Related stories

関連記事