【絶景&グルメ 観光列車の旅】JR九州オフィシャルカメラマンが語る D&S列車への誘惑
ゆふ高原線(久大線)を走る、JR九州のD&S列車「特急ゆふいんの森」号(3世)
九州の鉄道旅を盛り上げるD&S列車。現在は各線、個性豊かな10列車が運行されており、風光明めい媚び な車窓風景や地元食材のグルメ、地域住民とのコミュニケーションを通じて、沿線の風土を体験できる、九州の旅に欠かせないコンテンツとなっている。その魅力をJR九州のオフィシャルカメラマンが語る。

プロフィール
ふくしま・ひろかず
1975年、福岡県生まれ。鉄道写真家。JR九州のCM、オフィシャルスチール・ムービーを担当。主に「ななつ星in九州」やD&S列車、九州・西九州新幹線のプロモーションに携わる。
日本の観光列車のパイオニア的存在が博多ー由布院・別府間を結ぶ特急「ゆふいんの森」だ。列車名にふさわしいメタリックグリーンのボディーカラー、今では希少となったハイデッカー構造の車体。ビュッフェの存在も旅の楽しみを与えてくれる。1989年にデビューしたキハ71系の「1世(別府行き)」と99年に増備されたキハ72系の「3世(由布院行き)」の2本が運用されているので旅のスケジュールに合わせて選ぼう。
今年で運行15周年を迎える3列車にも注目したい。いずれも九州新幹線全線開業に合わせて誕生し、鹿児島中央駅、熊本駅を起点に運行されている。浦島太郎が登場する竜宮伝説にちなんだ「指宿(いぶすき)のたまて箱」は海側がベージュ、山側が黒と、左右で車体色が異なる大胆なデザインだが、玉手箱を開けた時の煙で浦島太郎が黒髪から白髪になってしまったという物語にちなんでいる。実際に乗降ドアからミストも出る。
「あそぼーい!」は熊本駅から阿蘇のカルデラへ誘(いざな)う列車。JR唯一となった車両の最前・最後尾にある眺望抜群のパノラマシートから、阿蘇のダイナミックな風景を存分に楽しめる。
「A列車で行こう」は熊本駅から天草方面へ導いてくれる「大人の旅」をテーマにした列車だ。大航海時代を彷彿(ほうふつ)とさせる装飾は優雅な雰囲気。注目は1号車のA-TRAIN BAR(トレイン バー)。客室乗務員がセレクトしたドリンクやスイーツが充実し、ハイボールサーバーを使ったAハイボールが一番人気となっている。
D&S列車の中でも特筆すべき列車が5日間かけて九州を一周する「36ぷらす3」の存在だ。特急用の787系電車を改造したピアノブラックの車体は強烈な存在感があり、コースごとに変化する車内体験、車内のインテリアやこだわり抜いたマテリアルは一見の価値がある。おもてなし駅での地域の方々との交流も旅を忘れがたい経験にする。現在は6号車の個室化改造のために運休中だが、ランチプランの内容も一新され、魅力を増して26年9月3日に運行を再開する。個性あふれるD&S列車で九州を発見する旅に出かけよう。
文・写真/福島啓和
🚊特急ゆふいんの森🚊
ヨーロピアンスタイルの1世(下写真)と都会的でスタイリッシュな雰囲気の3世(トップ写真)、どちらも違った魅力があって迷ってしまう。3世の4号車は2015年に追加新造された車両で内装に差がある。天井に木々の葉がプリントされ、まるで森のような雰囲気だ。また、ドアがない車両も特徴的。キハ71系の1世は運行開始から37年経過しており、ついに数年後の置き換えが決まった。早めの乗車をおすすめしたい。





🚊特急指宿のたまて箱🚊
1日3往復はD&S列車の中でも1番の運行本数。鹿児島中央駅を出てしばらくすると、車窓に桜島が姿を現わす。窓側を向いたカウンター席は美しい錦江(きんこう)湾と桜島をずっと眺めていられる人気席だ。2号車のフリースペースには、キッズチェアを備える子ども専用席もある。



🚊特急あそぼーい!🚊
世界有数の規模を誇る阿蘇カルデラに向かって走る4両編成の気動車特急。1988年に新造されたキハ183系1000番台を改装して使用しているが、今の姿に至るまで5回も改装されてきた歴史がある。車体にはマスコットキャラクターの「くろちゃん」(下写真)が101匹ちりばめられており、外装はにぎやかな雰囲気。途中の立野駅ではスイッチバックを体験でき、最前部からはその様子がよく見える。




🚊特急A列車で行こう🚊
始発駅では列車が入線するときに「A列車で行こう」のJAZZミュージックが流れる素敵な演出。下り列車のみ途中の網田(おうだ)駅で25分間の観光停車。国の登録有形文化財で、熊本県内最古の木造駅舎は必見だ。ステンドグラス越しに見える有明海や雲仙普賢岳の景色はまるで航海中の船に乗っている気分になる。



🚊36ぷらす3🚊
ゴールドのエンブレムが輝く、真っ黒に磨き上げられた車体は存在感抜群だ。五つのコースに分けられ、5日間で九州を一周する。各コースともに始発駅近くの名店が手がける食事が提供され、梅酒作りなどの車内体験、地域の方々の手厚いおもてなし体験もある。卵型の天井が懐かしい“ビュッフェ”が17年ぶりに復活。客室乗務員と旅の思い出を話しながらオリジナルグッズを眺めるのも楽しい。





特急ゆふいんの森
◉運行区間:博多-由布院・別府(2時間10分~3時間30分)
◉運行日:通年、1日3往復(2往復や特急「ゆふ」の日あり)
◉料金:乗車券3300円(博多-由布院)+指定席券2830円
※ネット限定の割引きっぷあり
36ぷらす3
◉運行区間:博多-熊本-鹿児島中央(木曜)、鹿児島中央-宮崎(金曜)、宮崎空港・宮崎-大分・別府(土曜)、大分・別府-小倉・博多(日曜)、博多-佐世保(月曜)
◉運行日:木~月曜の毎日(9月2日まで運休)
◉料金:ランチプランの旅行代金は曜日により異なる。金曜2万1100円~(2人席)。食事なしのグリーン席プランあり
特急あそぼーい!
◉運行区間:熊本-阿蘇・宮地(約1時間20分~30分)
◉運行日:通年、1日2往復(特急「かわせみ やませみ」の日あり)
◉料金:乗車券1300円(熊本-阿蘇)+指定席券1780円
特急A列車で行こう
◉運行区間:熊本-三角(約40分~1時間10分)
◉運行日:土・日曜、祝日を中心に1日2往復(夏休み期間は毎日)
◉料金:乗車券870円(熊本-三角)+指定席券1780円
特急指宿のたまて箱
◉運行区間:鹿児島中央-指宿(約50分)
◉運行日:通年、1日3往復
◉料金:乗車券1170円(鹿児島中央-指宿)+指定席券1780円
※予約方法:乗車日の1か月前から全国のみどりの窓口、主な旅行会社、JR九州インターネット列車予約で(36ぷらす3は公式ホームページ参照)
※問い合わせ:JR九州案内センター/TEL:0570-04-1717
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2026年8月号)
(Web掲載:2026年8月11日)


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