日米の艦船を見られる国内唯一の軍港クルーズ
艦船や潜水艦が並ぶ軍港の町
横須賀は1853年(嘉永6年)、浦賀沖に黒船が来航した地。かつては大日本帝国海軍の横須賀鎮守府が置かれたこともあり、以来、軍港の町として発展してきた。
現在、横須賀本港にはアメリカ海軍第7艦隊横須賀基地があり、隣接する長浦港に海上自衛隊横須賀基地がある。艦船や潜水艦が停泊する、いかにも軍港を思わせる光景は、初めて見る者にとっては驚きだろう。
乗船日により停泊船はさまざま
「YOKOSUKA軍港めぐり」は、これらの艦船を間近で見られるクルージングだ。汐入(しお いり)ターミナル裏の汐入桟橋から出航し、約45分かけて横須賀本港と長浦港を巡る。遊覧中に見られる艦船は多く、海上自衛隊の潜水艦や護衛艦、米海軍のイージス艦、時には空母や南極観測艦なども見られる。
「停泊する艦船は日ごとに変わります。一度乗った方でも、何度でもお楽しみいただけるのが特徴です」と、YOKOSUKA軍港めぐりの広報・安部武尊さんは話す。
現役の自衛隊員に船上からご挨拶
案内人が一緒にクルーズ船に乗り込み、艦船の名前や役割、沿岸の施設、歴史などを案内してくれる。時には整列した自衛隊員が、乗船客へ手を振ってくれることもあるという。軍港、艦船というと近寄りがたいイメージだが、身近に感じられる。
東京湾で唯一の無人島へ上陸
軍事施設に興味があるなら、汐入ターミナルから徒歩20分ほどの三笠桟橋へ。ここから東京湾に浮かぶ唯一の無人島、猿島へ向かう船が出航している。
猿島はかつて砲台が置かれた要塞(よう さい)の島だった。今はバーベキューや釣りも楽しめるレジャー島として人気だ。戦後まで立ち入り禁止だったため、レンガ積みのトンネルや砲台跡、兵舎跡などの旧軍施設が残り興味深い。201 5年に国史跡に指定された。
YOKOSUKA軍港めぐりと猿島の歴史遺産散策。1日でも気軽に楽しめるので、訪ねてみたい。
文/塙 広明
(出典 「旅行読売」2019年6月号)
(ウェブ掲載 2019年10月1日)