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19世紀日本の紅葉、富士山、宮島……。オスマン帝国の写真コレクション(上)

場所
19世紀日本の紅葉、富士山、宮島……。オスマン帝国の写真コレクション(上)


「秋の紅葉景色、王子、東京」(ユルドゥズ宮殿写真コレクションから)



「トルコからやって来た19世紀の写真で日本の美しさを『発見』してください」。

トルコのミマル・シナン芸術大学のキャーミル・フラット教授は、東京都渋谷区のユヌス・エムレトルコ文化センターで117日まで開催中の「ユルドゥズ宮殿写真コレクション展」会場で、そう言ってほほえんだ。


ユルドゥズ宮殿写真コレクションの美しく装丁された写真アルバム、アブデュルハミト2世の写真も展示されている
ユルドゥズ宮殿写真コレクションの美しく装丁された写真アルバム、アブデュルハミト2世の写真も展示されている


オスマン帝国時代のトルコで1876年から33年間にわたってスルタンとして在位したアブデュルハミト2世は世界各国に写真家を送り、膨大な写真資料を集成したが、その中から選ばれた日本の写真90点が展示されている。

写真はモノクロで撮影されたが、素朴な感じで彩色されている。「秋の紅葉景色、王子、東京」と題された写真について、展示解説書の解説文は「“生きた芸術”…日本庭園」とのタイトルの一文を載せている。

解説文は「写真の大半は、力強く根がはった木々に覆われています」と描写している。「写真では、全てがまるで本来あるべき姿であるように、また全てが本来あるべき場所に収められています」とも述べている。トルコから来た写真家が、「自然の法則」に従って造園された日本庭園の美しさに感銘を受け、撮影している様子が目に浮かぶようだ。


宮島・厳島神社の大鳥居、鎌倉の大仏(ユルドゥズ宮殿写真コレクションから)
宮島・厳島神社の大鳥居、鎌倉の大仏(ユルドゥズ宮殿写真コレクションから)

宮島や鎌倉の大仏の写真も展示


日本三景の「宮島」(広島県)、「松島」(宮城県)、さらに、鎌倉の大仏の写真もある。

海に浮かぶ大鳥居や巨大な仏像は、地球の反対側からやってきた写真家の目にどう映っただろうか。

富士山の姿を湖畔から撮影した写真も展示されている(ユルドゥズ宮殿写真コレクションから)
富士山の姿を湖畔から撮影した写真も展示されている(ユルドゥズ宮殿写真コレクションから)


外国にもその名が知れ渡っていた「富士山」の写真も複数展示されている。


展示解説書には「富士山/アララト山」と題した項目がある。


そこでは「空に向かって伸びる山」について、「多くの文化で到達できない山頂、天空への旅また精神的な浄化の場所」となったと指摘している。トルコ東端にあるアララト山は古来神聖な山とされ、(旧約聖書に出てくる)「ノアの箱船」が流れ着いた場所だとされる。


解説書は「アララト山と富士山は、両国の芸術においてインスピレーションの源」でもあるとしている。


 展示についての問い合わせはユヌス・エムレトルコ文化センターTEL03-6452-9258


19世紀トルコの写真に見る(下)を見る


トルコ関連ツアーはこちら

https://www.yomiuri-ryokou.co.jp/kaigai/europe/turkey/

Writer

藤原善晴 さん

月刊「旅行読売」編集部に2019年12月まで勤務。現在読売新聞東京本社文化部。瀬戸内海が見晴らせる広島県安芸津町風早(現・東広島市)生まれ。レトロブームということもあり、最近は「昭和」という言葉に敏感に反応。また、故郷が「令和」の典拠となった万葉集ゆかりの地であるため、福岡県太宰府市、奈良県、富山県高岡市、鳥取県など各地の「万葉集」ゆかりのニュースにも目を光らせている。