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楽々ハイク 秩父で日の出と雲海を眺める②

場所
> 秩父市
楽々ハイク 秩父で日の出と雲海を眺める②

●歩行距離4.8㌔ ●歩行時間3時間15分 ●難易度 低

ご神体の山へ、いざ登拝

秩父の山中、三峯神社へ着いたのは昨晩のこと。早朝に、話題の日の出と雲海を見たくて、隣接する宿坊「興雲閣」に前泊した。

が、雨男ゆえか、日頃の行いのせいか、日の出時刻は雨に降られ、どちらも見ることができなかった。晴天に恵まれていれば、写真のような雲海を見られるはずであった。とはいえ、楽しみはもう一つある。三峯神社奥宮のある妙法ヶ岳への登拝だ。

朝9時を過ぎると雨もやみ、木漏れ日が杉木立に差し込み始めた。湿度は高いものの、天気予報は快晴に向かっている。拝殿に参拝し、妙法ヶ岳山頂を目指して出発した。

少しずつ霧も薄れ、道案内をするかのように視界が開ける。案内板に「奥宮参道」とある。妙法ヶ岳そのものが御神体のため、「登山」ではなく「登拝」。ほどなく一の鳥居が見えてきてその思いも強まった。

登山届投入箱があり、備え付けの用紙に記入して入れる。標高2017㍍の雲取山や霧藻ヶ峰への登山口にもなっていて、重装備のハイカーも多い。それに比べ、奥宮を目指す人は軽装なのですぐに分かる。

天候に恵まれれば三峯神社の遥拝殿から雲海を眺められる(写真提供/三峯神社)
天候に恵まれれば三峯神社の遥拝殿から雲海を眺められる(写真提供/三峯神社)

木の根道を歩き、岩を越え

一の鳥居をくぐると緩やかな登りが始まる。50歳、運動とはほど遠い不摂生な生活をしているが、まだ余裕がある。

ほどなく現れる二の鳥居は雲取山への分岐点で、奥宮は鳥居をくぐって左手へ。ここから木の根道が広がり、山登りという雰囲気になる。湿度は高いものの見渡す限りに杉の木陰が広がり、吹き抜ける風が心地良い。

そんな余裕もつかの間、次第に九十九折の登りへと変わり、膝頭に手を添えて岩を越える箇所も増えてきた。

息があがってきた頃、ちょうど平地にベンチがあり、小休止。「奥宮1.2km」の標識を見て、行程の半分以上を歩いて来たことを知った。

二の鳥居をくぐって奥宮を目指す
二の鳥居をくぐって奥宮を目指す

登拝できた爽快な達成感

三の鳥居から先、奥宮のある山頂までアップダウンはあるものの、緩やかな尾根道もあり歩きやすい。イヌブナ、カツラ、サワグルミなど杉に比べて低木の木々が増え、生い茂る葉が頭上近くに迫る。

ただ、急な階段や片側が崖になった道幅の狭い所もあるので気を緩めずに。最後、5㍍ほどの鎖場を上がると山頂だ。

石造りの祠と石灯籠が立つ奥宮。20畳あるかないか、山頂は広くない。まずは無事の登頂に感謝し、手を合わせた。振り返ると望めるはずの絶景は、霧一色。晴天時には、雲取山や白岩山など奥秩父の山々を見渡せる。

片道1時間30分ほどの登拝とはいえ、初心者のささやかな達成感ながら気分爽快。これを繰り返して味わうことで、山歩きにはまるのだろう思いながら、下山後の温泉を楽しみに神の山を後にした。

文/松田秀雄

ハイキング関連ツアーはこちら

https://www.yomiuri-ryokou.co.jp/kokunai/walk/

山頂に鎮座する奥宮
山頂に鎮座する奥宮

施設データ

三峯神社      

TEL0494-55-0241

http://www.mitsuminejinja.or.jp/

 (出典 「旅行読売」2017年8月号)

(ウェブ掲載 2020年4月27日)

Writer

松田秀雄 さん

全国を取材で巡ること約30年。得意なテーマは「温泉」で、北海道・稚内温泉から沖縄・西表島温泉まで500湯・2000軒以上は訪れている。特に泉質は硫黄泉が好きで、湯上りに体を拭かず自然乾燥させるのがモットー。帰宅後、体に付着した硫黄成分が湯船に染み出して白濁する様子を見るのが好き。最近は飲泉への興味が強く、「焼酎割に適した温泉は?」を掲げて最高の一杯を探し中。旅行読売出版社・編集部に所属。

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