21件を新認定! 旅を深める104の物語「日本遺産」
加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-(富山県高岡市)
日本各地の伝統、伝承、風習を、未来へと受け継ぐ物語「日本遺産」。 先人の暮らしと知恵を知る旅へ。歴史の舞台へ出かけてみよう。
地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化・伝統を語るストーリーを認定する「日本遺産」。2015年にスタートし、6月に21件のストーリーが新たに認定され、計104件となった。
年に1回、文化庁が市町村から公募し、外部有識者による「日本遺産審査委員会」が審査してきた。認定のポイントは、①「地域の歴史的経緯や風習、伝承を踏まえたものであること」、②「ストーリーの中核に建造物や遺跡、名勝地、祭など、各地域に根ざして継承・保存されている文化財にまつわるものを据えること」、③「単に地域の歴史や文化財の価値を解説するだけのものではないこと」の三つだ。
例えば、富山県高岡市は江戸時代に商工業で発展し、町民文化が受け継がれてきた都市。鋳物や漆工などの独自生産力を高める一方、穀倉地帯や物資を運ぶ良港を持ち、「加賀藩の台所」と呼ばれた。往時を偲ぶ町並みや祭礼などが、日本遺産の構成文化財となっている。
日本のワイン作りの歴史や文化を伝えるのは山梨県の「葡萄畑が織りなす風景」。先人が苦労と工夫を重ねて広げた甲府盆地東部の葡萄畑は、明治政府の殖産興業政策としてのワイン作りの礎となった。
織物の営みが育んだ町並みを受け継ぐのは京都府北部の丹後地域。織物工場からの「ガチャガチャ」という機織りの音や天橋立の風景などを巡れば、約300年の織物の歴史と文化を体感できる。
他にも、名古屋市に伝わる絞り染めとその産地の情緒ある町並みや、鳥取県因幡地方と兵庫県但馬地方に伝わる麒麟獅子舞、熊本県山鹿市を中心とした地域の2000年に渡る米作りの物語など、多彩な構成文化財によるストーリーが認定されている。
構成文化財について事前に勉強すれば、より有意義な旅になるはず。博物館などで開催される日本遺産関連の特別展や公開講座も多彩だ。
日本遺産を旅して、日本という国の多様性を感じてみよう。
2020年度認定の日本遺産21件
日本遺産の詳細については、日本遺産ポータルサイト