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夏の北関東で個性的な鉄印求めて海辺から山あいへ(1)

場所
夏の北関東で個性的な鉄印求めて海辺から山あいへ(1)

田園沿いの高架線路を走る鹿島臨海鉄道。大洗ー常澄(つねずみ)駅間。2両編成で走る区間もある

鹿島臨海鉄道で田園地帯から大洗海岸へ

全国の第三セクター鉄道40社が7月10日から販売を始めた鉄印帳。早速、鉄印を集めたくなって鉄道路線図とにらめっこ。せっかくなら、1度で複数の鉄印がほしい。東京からの日帰りではやや強行軍となるが、目指すは北関東。鹿島臨海鉄道(茨城) と真岡鐵道(茨城・栃木)をつなぐコースを組んでみた。

東京駅からJRの総武線、成田線、鹿島線と乗り継いで、鹿島神宮駅から直通する鹿島臨海鉄道に乗る。鹿島神宮は出雲の国譲りで 活躍した武甕槌大神(たけみかずちのおおかみ)を祭神とする古社で、地震を引き起こす大ナマズの頭を押さえ込んでいるとか。先を急ぐため参拝時間はとれなかったが、ホームから神社方向に一礼して感謝の意を示した。

1両編成の車両に乗り、いざ出発。すぐにカダンゴトンという振動が少ないことに気付いた。これは通常よりも長いレールを使っているためで、レールの継ぎ目が少なければ振動も少なくなる。

鹿島臨海鉄道 鉄印
「大洗駅でお待ちしています」と鹿島臨海鉄道大洗駅助役の狩野浩司さん
大洗駅
漁師がカジキマグロと向かいあうオブジェが新設された大洗駅

地元の神社をイメージした鉄印

サッカー開催日のみ列車が停車する鹿島サッカースタジアム駅、荒野台(こうやだい)駅を過ぎると長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅。3月に京都の京福電気鉄道北野線の「等持院・ 立命館大学衣笠キャンパス前駅」に抜かれるまで、読み仮名で「日本一長い駅名」だった。駅名看板をよく見ると小さな「東」の文字が追加され、「東日本一長い駅名」となっていて大笑い。会社の真面目さと遊び心に拍手した。

遠くに北浦を望む北浦湖畔駅を経て、涸沼(ひぬま)駅から切り通しを抜けると右に大洗(おおあらい)の町並みが広がった。大洗駅で最初の下車。改札外の売店で鉄印をもらう。毛筆体の文字と会社ロゴマークのみのシンプルなデザインだ。「鹿島神宮、大磯前(いそさき)神社にちなみ、社寺の御朱印をイメージしました」と、企画課長の小松崎明さん。説明を聞くと、この路線にぴったりな鉄印思えてきた。

せっかく大洗海岸の近くまで来たのだから昼食は海の幸で決まり。駅前のすし店「寿々翔(すずしょう)」で握りずしのおまかせを注文した。大トロ、ヒラメ、赤貝、コハダなどのすしタネは、店主が毎朝、水戸や大洗の市場で仕入れたもので鮮度は抜群。魚の味がよく分かるように少し厚めに切ってあるのもうれしい。

文・写真/内田晃

夏の北関東で個性的な鉄印求めて海辺から山あいへ(2)へつづく

「鉄印帳」とは?

寿司
寿々翔で一番人気の「おまかせ」には小鉢とおわんが付く。夏には煮ハマグリが並ぶこともある

鹿島臨海鉄道

(出典「旅行読売」2020年9月号)

(ウェブ掲載 2020年9月2日)


Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員