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春風亭昇太 お城めぐりのすすめ<後編>

場所
春風亭昇太 お城めぐりのすすめ<後編>

一乗谷城にて


――城歩きにはそれ以外の楽しみもあるそうですね?

お城へ行くときはだいたい鉄道を利用しています。鉄道好きに話すと、○○鉄道に乗ったんですか! と驚かれたりします。僕はむしろ食べることが好きで、立ち食いそばが好きなんですが、群馬県の高崎駅からローカル線の上信電鉄に乗って西山名駅で降りて山名城を見て、それから根小屋城をめぐって高崎商科大学前駅に戻ってきましたが、高崎駅の改札手前にある立ち食いそばの店はラーメンが名物なんですよ。昔ながらの懐かしいしょう油ラーメンです。

それから、広島県の神辺(かんなべ)城。福山駅から福塩(ふくえん)線で三つ目の神辺駅から歩いて行けますが、ここへ行ったときは福山市のなかやま牧場が作っているコンビーフ缶詰をお土産に買いました。副産物として、城めぐりをした後の時間も楽しんでいますね。


■根小屋城(群馬県高崎市)

高崎市の観音山丘陵には5か所の城址が分布しているが、そのうちの一つ。北条氏康、上杉謙信に対する監視の狼煙台として、山名城の峰続きに武田信玄が1568年に築城した。主郭周囲の北東側と南西側に長大な横堀を配し、主郭虎口には大型の土塁枡形が付属している。

■神辺城(広島県福山市)

1335年ごろ神辺平野を一望できる黄葉山に、備後守護の朝山景連が築城したといわれる。嘉吉の乱(1441年)で赤松満祐討伐のため山名丈休が修築した。本丸を中心に西に向かって6段、北に向かって2段の曲輪が配置されている。曲輪は城趾公園として整備されている。

TEL:084-963-2230(神辺町観光協会)

 

――山城歩きをする人たちにアドバイスなどがあれば。

滑落とスズメバチには気をつけて(笑)。僕もスズメバチにはよく遭遇します。怒っているときはそっと後退したほうがいい。野生動物ではクマはないけれど、イノシシはある。ニホンカモシカに遭遇したこともあります。

自治体で管理していない山城を見に行くときは、地権者に挨拶に行くのが礼儀だと思います。農家の人とかに一声掛けると、「どうしたんですか、どうしてここに?」と驚かれますが、お城を見に来たんですというと納得してくれます。「笑点」に出るようになって顔が知られることで助かっています(笑)。

今は中世の山城の調査が進んでいるので、面白い時代なんですよ。新しい発見があるので、今までの定説が覆されたりもします。リアルタイムで新しい情報が入ってくるので、今、お城ファンになった人はいい時代だと思いますよ。しばらくはコロナ禍で「三密」を避けなければなりませんが、山城歩きは屋外ですし、密になることもない。おすすめです。

一乗谷城
一乗谷城

■一乗谷城(福井県福井市)

15世紀前半、朝倉氏によって一乗城山(標高473㍍)に築城。曲輪、空堀、堀切、竪堀、土塁や伏兵穴跡などの遺構が尾根や谷筋に沿って残る。一乗谷は朝倉氏5代の城下町跡として一乗谷城を含む278㌶が国の特別史跡に指定されている。

TEL:0776-41-2330(朝倉氏遺跡保存協会)

 

――ほかに印象的な城を教えてもらえますか?

福井の一乗谷城は、手つかずのままずっときたので、発掘調査によって城主の館跡とそれに付随する城、町民が暮らしていた町屋などがそっくり残っている。朝倉氏の中世の暮らしぶりが丸ごと残っているのが素晴らしい。

日本城郭協会が2006年に「日本100名城」を選定し、一乗谷城も選ばれましたが、選に漏れた良い城がいっぱいある。10年後に新たに「続日本100名城」が選定されましたが、僕の周りでは「続」のほうが評価は高いですね。


春風亭昇太/しゅんぷうていしょうた

1982年、春風亭柳昇に入門。2000年には文化庁芸術祭大賞を受賞。2006年に日本テレビ「笑点」大喜利メンバーとなり、2016年には6代目司会者に就任。また、役者としても活躍するほか、「お城めぐり」が高じ、著書の執筆、講演、城イベントなどの出演も多い。

(出典「100名城さんぽ」2020年10月5日発売)

(ウェブ掲載 2020年12月17日)



Writer

たびよみ編集部 さん

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