武田家の命運に関わった岩櫃城
岩櫃城本丸址
波打つ土塁や空堀
“歴女”“城ガール”といった言葉が生まれるほど、最近は城がブームである。特に天守など遺構の少ない城跡は想像を楽しむ歴史旅として、シニア層にも人気がある。
訪れた岩櫃(いわびつ)城は、群馬県東吾妻町にひっそりとある。標高802㍍の岩櫃山中腹にある山城だ。岩櫃山平沢登山口観光案内所から20分ほど山間を歩くと本丸址だ。
築城時期も築城者も不明だが、戦国時代初期には上杉配下の斎藤憲行の居城だったという。1563年、そこへ攻め入って勝利を得たのが武田信玄の家臣・真田幸綱(幸隆)。昌幸の父で、幸村の祖父である。
城域は尾根伝いに広がり、険しい岩々に守られた天然の要塞。本丸へは竪堀を歩く所もあり、波打つ土塁や空堀が網の目状に巡る。
歴史が変わったかも!?
城主・昌幸は1582年、織田・徳川連合軍に攻め込まれていた武田勝頼を迎え、建て直しを提案したが叶わず、勝頼は途上で自刃。昌幸の助けを得ていれば、最後の武田家当主とならず、歴史の1㌻を塗り替えていたかもしれない。
岩櫃城は2019年10月、国指定史跡になった。旅の想い出に、最近なにかと話題の御城印を東吾妻町観光協会で買った(4月以降は岩櫃山平沢登山口観光案内所で販売)。
春はスイセンと桜の競演も
帰途、観光も楽しもうと寄り道。岩櫃城から車で20分ほどに岩井親水公園がある。ここに隣接する畑で例年、4月上旬~中旬に約30万本のスイセンと桜並木の競演を楽しめる。
近くには、特産のコンニャクを売っている小山農園もある。コンニャク芋農園で、生芋から直接作る“生ズリ”という伝統製法にこだわっている。そのため、例えば糸コンニャクなどはサラダと一緒にドレッシングで食べるとおいしいという。コンニャク製品は15種ほど販売。土産にぴったりだ。
文/松田秀雄
<データ>
岩櫃城
TEL0279-70-2110(東吾妻町観光協会)
http://iwabitsu-sanadamaru.com/
小山農園
TEL0279-68-3681
(出典 「旅行読売」2020年4月号)
(ウェブ掲載 2020年3月19日)