列車を貸し切り! 土佐くろしお鉄道で四万十へ【高知県】
中村駅を出発して間もなくハイライトが訪れた。車窓の視界が一気に開け、四万十川の雄大な流れが目に飛び込んでくる。こんな体験ができるのは、土佐くろしお鉄道の貸し切り列車。清流をひとり占めしている気分になった。
土佐くろしお鉄道は高知県東部の後免(ごめん)-奈半利(なはり)駅を走るごめん・なはり線と、西部の窪川-宿毛(すくも)駅を走る中村・宿毛線があり、どちらの線でも貸し切りできる。
今回は中村駅から宿毛方面に向かい、有岡駅で折り返したが、「ご希望に応じて通常列車の間に特別ダイヤを作ります」と同社総務部の北川典生さんは説明する。橋上に停車したり、運転士に声を掛けたり非日常の経験ばかり。鉄道ファンならずともワクワクする。
2種類の「鉄印」
土佐くろしお鉄道では御朱印の鉄道版である鉄印を販売している。中村・宿毛線は中村駅で鉄印帳と乗車券を提示すると、書き置き印を買える(300円)。
中村は城下町で、四万十市郷土博物館周辺には、中村城の土塁など遺構が残っている。
駅前でレンタサイクルを借りて、佐田沈下橋までサイクリングするのもいいだろう。増水時に沈下することを想定した欄干のない沈下橋は、四万十川ならではの風景だ。
翌日はレンタカーで四国最南端を目指す。足摺海洋館SATOUMIの竜串湾を再現した大水槽は、シコロサンゴの群落の中を熱帯魚がのんびりと泳ぐ。
ジョン万次郎資料館では、漁師だった万次郎がアメリカで英語を学び、幕末に様々な文物をもたらしたことを知った。遭難後、仲間と別れて自らの意思でアメリカ本土へ行った実行力は心に響く。
■足摺海洋館SATOUMI
原生林に始まり里山、渓流、河口、海へと続く生態系を350種1万5000の生き物で展示。水深7㍍の海底を眺められる足摺海底館とのセット券もある(1500円)。
9時~17時/無休/1200円/TEL:0880-85-0635
■ジョン万次郎資料館
漁師から通訳や教授になった万次郎の激動の生涯を時代ごとに展示。写真は帰国後にアルファベットを記した掛け軸。
8時30分~17時/無休/440円/TEL:0880-82-3155
中村に戻り、列車に乗って土佐佐賀駅で下車し、佐賀港近くの黒潮一番館へ向かう。
元漁師の浜中一好さんが藁焼きしたカツオのタタキは絶妙な焼き加減で、初ガツオに土佐の春を感じた。店内は活気にあふれていて、スタッフのお母さんたちの元気に力をもらい、店を後にした。
■黒潮一番館
土佐佐賀駅から徒歩15分。カツオのタタキ定食1500円(写真)、カツオのタタキ丼900円など、注文のたびに藁焼きする。
11時~14時(土・日曜、祝日は~15時)/火曜休(祝日の場合営業)/TEL:0880-55-3680
20人程度まで/2万4030円~(中村-宿毛駅間の場合)
同社企画営業課 TEL:0880-35-4962
<中村駅までの交通>
高知駅から特急あしずり、しまんとで1時間50分