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歩く旅 碁石海岸(岩手・大船渡市)・陸前高田(同・陸前高田市)

場所
> 大船渡市・陸前高田市
歩く旅 碁石海岸(岩手・大船渡市)・陸前高田(同・陸前高田市)

みちのく潮風トレイルと奇跡の一本松を訪ねる道

徒歩時間▽1日目約3時間45分(約12㌔) 2日目約1時間25分(約6㌔)

行程差▽約85㍍

2011年3月の東日本大震災では、大津波が東北地方の太平洋沿岸部を襲い、甚大な被害をもたらした。その復興プロジェクトの一つとして、沿岸部を「歩く道」でつなぐ計画が立てられた。それが「みちのく潮風トレイル」だ。震災から10年の節目を機に、トレイルの一部を歩いた。

全長1025㌔の長いトレイルのうち、今回選んだのは岩手県大船渡市の末崎(まっさき)半島南端約6㌔の海岸線「碁石海岸」だ。大船渡線(BRT=バス高速輸送システム)碁石海岸口駅(13時16分着)で下車し、歩く旅をスタートした。

同駅は「海岸口」と名付けられているものの、海から離れた内陸部に位置している。最初の目的地・穴通磯(あなとおしいそ)に行くには小高い丘を越えて半島を横切らなければならない。歩いていても退屈な舗装路を上って下って約50分の行程は決して楽ではない。ただ、穴通磯の駐車場に到着し、未舗装の遊歩道を3分ほど下って目に飛び込んできたのは、思わず「おー!」と声を上げてしまうほどの絶景だ。まさに「苦あれば楽あり」。ザブンと音を立てて白く砕ける荒波。その波によって浸蝕された穴通磯の神秘的な姿は、人為の及ばぬ自然のパワーを感じさせ、畏怖(いふ)さえ覚える。

長い年月にわたる海水の浸食で穴が開いた穴通磯は、自然が生んだ造形美

さあ、ここからアカマツやクロマツの林を縫うように、海沿いに整備された遊歩道を進んで行こう。土の遊歩道は、舗装路を歩き続けて悲鳴を上げかけていた足の疲れを癒やしてくれる。吹き付ける海風も気持ちよい。

北緯39度線の標柱を過ぎ、赤土倉(あかどくら)付近から巨大な岩島「巾着岩」を左手に眺めながら、碁石海岸インフォメーションセンターへ。本来なら、ここで情報を集めてから出発するのがベストなのだが、今回はルートの途中で立ち寄って詳しい地図を入手。センターのスタッフに「海のすぐそばを歩けるのが、この遊歩道の醍醐 味。雄大な景色に加え、ツツジ、ニッコウキスゲ、ノハナショウブなど季節によって色々な植物にも出合えますよ」と教えてもらってから、雷岩・乱曝谷(らんぼうや)を望む展望台、碁石岬の灯台や展望台などを巡った。

打ち付ける波が空気を圧 縮して大きな音を出す雷岩(右側)。それと向き合う断 崖絶壁が峡谷のようになった乱曝谷は雄大な絶景

碁石浜は、波によって磨かれた碁石のような玉砂利が敷き詰められた浜で、「碁石海岸」という名前の由来になったそうだ。祖母とおぼしき女性に連れられた地元の子どもたちが丸い石を拾って遊んでいるのをぼんやり眺めたら、碁石海岸口駅に戻り、17時40分発のBRTで陸前高田市内に移動。この日は、2日目の歩き出しに便利な場所にある陸前高田キャピタルホテル1000に宿をとった。

枯死後、モニュメントとして保存・整備された「奇跡の一本松」

10年目の悲劇に思いをはせる

翌日は、話題の商業施設「陸前高田 発酵パーク CAMOCY(カモシー)」に立ち寄るべく、歩くこと約50分。施設では、チョコレート専門店「CACAO broma(カカオ・ブローマ)」で濃厚なカカオバナナスムージー(550円)を注文し、ひと休みした。

この日の目的は、2019年9月にオープンした東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMI メモリアル)と、震災時に約7万本の松原の中で唯一津波に打ち勝ちながら、その後に枯死が確認されて加工処理された「奇跡の一本松」を訪ねること。伝承館では、10年前の震災の記憶をたどり、改めて心の中で震災の犠牲者たちを追悼した。

伝承館に隣接する道の駅高田松原では、地元産のカキ、イクラ、メカブをふんだんに使った「たかた丼」に舌鼓を打った。

大津波を引き起こしたのも自然、荒波によって絶景を造り出したのもまた自然……。そんな当たり前のことを頭の中で反芻(はんすう)しながら、気仙沼駅(宮城県)行きのBRTに乗り込んだ。

■起点までの交通

東北新幹線一ノ関駅から大船渡線1時間30分の気仙沼駅で同線BRTに乗り換え、1時間5分の碁石海岸口駅下車

問い合わせ:碁石海岸インフォメーションセンター  TEL:0192-29-2359

■モデルコース

【1日目】
 大船渡線(BRT)
 碁石海岸口駅
 ↓ 3. 5㌔(50分)
❶穴通磯展望台
 ↓ 1. 5㌔(50分)
❷ 赤土倉
 ↓ 1. 5㌔(40分)
❸碁石海岸インフォメーション
 センター
 ↓ 0.4㌔(5分)
❹ 雷岩・乱曝谷展望台
 ↓ 0. 5㌔(15分)
❺碁石岬展望台
 ↓ 0.7㌔(15分)
❻碁石浜
 ↓ 3.8㌔(50分)
 大船渡線(BRT)碁石海岸口駅
 ↓
 大船渡線(BRT)高田高校前駅
 陸前高田キャピタルホテル1000 (宿泊)

【2日目】
 陸前高田
 キャピタルホテル1000
 ↓ 3. 5㌔(50分)
❼ 陸前高田
 発酵パーク CAMOCY
 ↓ 1. 5㌔(20分)
❽東日本大震災
 津波伝承館
 (道の駅高田松原)
 ↓ 0. 5㌔(7分)
❾奇跡の一本松
 ↓ 0. 5㌔(7分)
 大船渡線(BRT)
 奇跡の一本松駅

(旅行読売2021年6月号掲載)
(ウェブ掲載 2021年6月21日)

Writer

松本浩行 さん

東京都墨田区出身。月刊「旅行読売」編集部勤務から3年間の青森県勤務(読売新聞弘前支局)を経て、2019年11月、月刊「旅行読売」編集部に戻る。これまでに群馬県、石川県、宮城県などでも勤務した経験をもつが、今では「歌手ならりんご娘(ご当地アイドル)、山なら岩木山、果物ならリンゴ」と語る青森推しの編集長。

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