「紀伊山地は空気そのものが世界遺産」
「所長になりましたが、東京勤務はすでに10年以上。これまで培ったネットワークを大事にしながら、東京と和歌山との橋渡し役に一層力を尽くしたいです」と語るのは、4月に和歌山県東京事務所長に就任した日根かがりさん。
和歌山といえば、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された高野山、熊野古道を抱える県。日根さん自身、世界遺産登録直後、熊野古道の付加価値をいかに高めるかを検討するプロジェクトに従事し、旅行といえば、食べる・見る・遊ぶが主流の時代に、「歩く」を通じた熊野古道の魅力発信を訴えてきた。
「本県の世界遺産は、人と自然との営みが時間をかけて創り上げた『文化的景観』として評価された国内最初の例。いわば、空気が世界遺産。壮大過ぎて、それをいかに伝えるかが難しかった」と振り返る。そして、「古道歩きに誘導するために、『健康にいい』とか『ストレスが下がる』とか、エビデンス調査までした」と苦笑する。
「東京で仕事をしているが、この精神性の高い世界遺産のおかげで人脈が拡がっている」と語り、聖地巡礼の魅力をアピールしている。
(旅行読売2021年7月号掲載)