町の助成でお得にレンタカー旅
標高2172㍍の日本国道最高地点
標高2000㍍超の天空の道を疾走
最近はレンタカーのお得なキャンペーンや助成が増えている。長野県山ノ内町の「楽ちんカーサービス」もその一つ。北陸新幹線の飯山駅でレンタカーを利用し、志賀高原や湯田中渋温泉郷など、山ノ内町の宿に宿泊すると、1台につき宿泊料金を5000円助成してくれるというものだ(利用方法など詳細は要問い合わせ)。
そんな話を聞いたら、急に澄んだ高原の空気が吸いたくなった。志賀高原と草津温泉を結ぶ約42㌔のルートは、志賀草津高原ルートと呼ばれる絶景の山岳道路、ここも走ってみたい。わくわくしながらレンタカーを予約した。
飯山駅から県道414号を信州中野方面に下り、国道292号に出て、道の駅 北信州やまのうちの食堂で腹ごしらえ。名物のそばは地元産のそば粉を使った自家製麺で、コシがあって、つるっと喉越しがいい。
志賀高原の歴史に触れて
292号を草津方面に向かう。道の両脇に木々が増え、窓からの風が心地良い。蓮池の手前を左に曲がると「志賀高原山の駅」だ。
ここは廃止になった志賀高原ロープウェイの山麓にあった蓮池駅をリノベーションした施設で、レストランや土産店もある。かつての発着所にはロープウェイの車両がそのまま残され、休憩スポットになっている。どっしりそびえる山々を眺めてひと息つく。
徒歩10分ほどの場所に立つ山小屋風のすてきな西洋建築の建物は、1937年に建てられた日本最初のスキー用の本格的ホテル、志賀高原ホテル。現存する一部を志賀高原歴史記念館として公開している。ドイツ人の指導で造られ、吹き抜けのロビーの石暖炉や手作りのステンドグラスなど、希少な調度が残っている。
日本国道最高地点での絶景
292号に戻り、山あいのくねくねした道を上っていく。だんだん車窓からの視界が広くなり、ときに雄大な山々を見下ろしながら走る。空が近い。群馬県との県境の渋峠ホテルを過ぎたら、間もなく日本国道最高地点。石碑もある。駐車場に立つと、眼下には濃淡の緑が美しい芳ヶ平湿原が広がる。横には荒涼とした草津白根山。あまりに壮大な眺めに言葉を失い、しばらくたたずんだ。
湯の花舞うにごり湯を堪能
クルマ旅なので、志賀高原で一番山深い所に宿をとった。熊の湯ほたる温泉に立つ志賀高原ホテル一望閣は、2人1室で1人1泊2食8950円~。宿によって源泉が異なり、横手山の麓から引く温泉はこの地区でも珍しい乳緑色の濁り湯。湯の花が舞い、心身ともにとろけそうな湯だった。
リフトに乗って空中散歩
翌日は横手山に上ってみることにした。といっても徒歩ではない。
横手山・渋峠スキー場では、グリーンシーズンもスカイレーターと2本のリフトを運転。山頂までの空中散歩を楽しめるのだ。
スカイレーターは、エスカレーターのような動く歩道。上がっていくにつれ、徐々に眼下の眺めが壮観になっていく。クルマで走ったつづら折りの道が、まるで絵のように美しい。リフトに乗りつぎ、山頂に着く頃には雲が広がり始めていたが、標高2307㍍からの眺めは十分迫力がある。
「横手山はリフトで上がれる山としては日本一の標高。独立峰なので360度のパノラマビューが楽しめます。晴れていれば富士山や浅間山、八ヶ岳まで見えますよ」と、横手山・渋峠スキー場広報担当の倉持太一さん。朝は雲海が見えることも多い。条件が良ければ、雲海の中に北アルプスが浮かぶような光景も見られるという。
山頂には、展望スペースやカフェなどもあり、ゆったり眺めを楽しめる。
今回は山岳道路の絶景を目いっぱい満喫したが、湯田中渋温泉郷に泊まって善光寺や小布施の観光を楽しむコースも悪くない。現地のレンタカー利用で、クルマ旅の幅がぐんと広がるのを実感した。
文/高崎真規子 写真/三川ゆき江
<問い合わせ>
山ノ内町観光連盟 TEL:0269-33-2138
道の駅 北信州やまのうち TEL:0269-31-1008
志賀高原歴史記念館 TEL:0269-34-2253
志賀高原山の駅 TEL:0269-34-2621
志賀高原ホテル一望閣 TEL:0269-34-2031
横手山・渋峠スキー場スカイレーター TEL:0269-34-2600
(出典「旅行読売」2021年9月号)
(ウェブ掲載2021年10月17日)