山と海を感じる旅へ 秋色に染まる北陸
~石川編~
黄金色に染まる白米千枚田(輪島市)。写真提供:石川県観光連盟
秋は、紅葉に彩られた歴史ある寺院を訪れて、静かな時を過ごしたくなる。話題の新スポットを巡り、その土地が育む豊かな食と出会うのも、また旅の楽しさ。山も海も近い北陸ならではの秋景色を楽しみながら、心ときめく旅に出かけよう。
坐禅体験で心を整え、海沿いの千枚田に感動
1321年、瑩山(えいざん)禅師によって開かれた總持寺は、曹洞宗の総本山。明治の大火を機に本山は横浜に移転、輪島は祖の地として、大本山總持寺祖院と呼ばれている。
総ケヤキ造りの山門をくぐると、山を背景に法堂など伽藍が広がる。僧堂では、曹洞宗の教えの根幹である坐禅を体験できる。静寂に包まれ、ゆっくり深く呼吸することに集中しているうちに、雑多な考え事が溜まっていた頭の中がスッキリし、心も穏やかになったような気がした。
總持寺祖院は、2021年開創700年を迎えた。これを記念し、記念御朱印を授与している。
總持寺祖院から北東に30キロほど進んだ海沿いには、白米(しろよね)千枚田が広がる。日本海に面した急斜面に、1004枚の水田が段々に連なる。世界農業遺産にも認定された、美しい風景だ。秋には黄金色に実った稲穂が風にそよぐ。
9月の刈り取り後、棚田は違った魅力を見せる。2021年10月23日から2022年3月13日まで、昼間の太陽光エネルギーで充電したLED電球を用いて、イルミネーション「あぜのきらめき」が
輝く。日没から約4時間点灯。15分ごとに色が変化する。幻想的で、ぬくもりのある明かりが訪れた人々を魅了する。