格式高い相国寺に残る文化財の数々
禅宗の様式をそのまま伝える相国寺法堂
室町幕府3代将軍足利義満が権力の象徴として、また自らの禅の修行の場として創建した相国寺(しょうこくじ)。京都五山のなかでも第2位の寺格を持ち、かつては約144万坪の寺域に、50余りの塔頭(たっちゅう)寺院が立ち並んでいたという。現在の境内は4万坪ほどだが、臨済宗の大本山として全国に100カ寺の末寺があり、山外塔頭には金閣寺、銀閣寺を有するほど、今もなお高い格式を誇る。
幾度とない火災に見舞われ、伽藍や堂宇(どうう)を失った相国寺だが、その権威を物語るように数多くの宝物や障壁画が残されている。1605年に豊臣秀頼の寄進によって再建された法堂(はっとう/本堂)の天井には、豊臣家の画用を務めた狩野光信による「蟠龍図」が豪快に描かれている。下で手を叩くと反響することから「鳴き龍」とも呼ばれる。
また法堂の北側に建つ方丈は、狩野派の絵師や画僧による見事な襖絵や杉戸絵などが残され、見どころも多い。ちなみに法堂や方丈、夢想国師の木像を安置した開山堂は、通常非公開だが今年は12月12日まで特別拝観を実施している。
さらに相国寺は江戸時代の稀代の絵師、伊藤若冲ともゆかりが深く、その名を世に知らしめた花鳥画「動植綵(どうしょくさい)絵(え)」や「釈迦三尊像」などが寺に寄進されている。
境内には若冲をはじめ、円山応挙、長谷川等伯などの作品を収蔵する承天閣美術館がある。10月24日まで企画展「若冲と近世絵画Ⅱ期」を開催中だ。こちらでは若冲の作品などを通し、相国寺僧侶と絵師たちの交流の軌跡をたどることができる。
京都浪漫 悠久の物語「波瀾万丈!相国寺の歴史秘話~幻の七重大塔・応仁の乱・若冲忌~」
2021年10月11日(月)よる8時~8時53分 BS11にて放送
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