石神前駅【青梅線】
4月上旬、多摩川畔の小駅に桜花が舞う
立川駅を起点とする青梅線。途中の青梅駅まではまだまだ都会的な雰囲気だが、青梅駅で4両編成の列車に乗り換えた先は、車窓に多摩川が造る谷が迫ってくるようになる。
青梅駅を出て三つ目、ひときわ大きな桜の木が目に留まり石神前(いしがみまえ)駅で下車。駅舎を囲むように植えられた数本の大きな桜の木が、美しい花を揺らして迎えてくれた。
石神前駅は、かつてこの地にあった遊園地の最寄り駅である楽々園停留場として開業。遊園地の営業終了後に三田村駅という名を経て、駅近くの石神社(いしがみしゃ)にちなんで現在の駅名となった。
駅近くの好文(こうぶん)橋から、多摩川の美しい流れを望み対岸へ。一帯は吉野梅郷(ばいごう)と呼ばれるが、現在再生の取り組みが始まったばかりだ。
東京とは思えない豊かな自然に触れ、心癒やされる思いがした。
文・写真/越信行
青梅線は1944年全線開業。石神前駅は1928年、楽々園停留場として開業。石神前駅へは立川駅から40分
(出典 「旅行読売」2019年4月号)
(ウェブ掲載 2021年12月29日)