【鉄道開業150年】東京駅を歩く(2)
アメリカ人建築家のヘルムート・ヤーンが手掛けたグランルーフ。デザインコンセプトは「光に包まれるクリスタルの塔と光の帆」
八重洲のグランルーフとミッドタウンを見上げる
東京駅構内は復原計画の前後から、グランスタなど「駅ナカ」のグルメ・ショッピングエリアが次々に誕生して、「東京ステーションシティ」をうたう。2022年4月には丸の内と八重洲を結ぶ北自由通路の途中にグランスタ八重北が開業。行くたびに店ができていて、本当に商店街がいくつもある街のようだ。
八重洲口を抜けると巨大な帆を模したグランルーフの下、ターミナルに高速バスが発着し、目の前に工事中の東京ミッドタウン八重洲の高層ビルがそびえ立っていた。「歴史・伝統の丸の内と、未来・先進性の八重洲」(前出の大内田史郎さん)のコントラストが鮮やかだ。
ヤエチカのアロマ珈琲にて
そんな東京駅の歴史を見てきたヤエチカ(八重洲地下街)のアロマ珈琲(コーヒー)に寄った。開業はヤエチカオープンの数年後の1970年。ヤエチカ開業初期から続く店は、今やここやカレーショップアルプスなど、10店舗ほどと少なくなった。
「駅ナカに店ができて、こちらまで来てくれる人は減りましたね。その上、コロナでしょ」と2代目の蓮田店長は苦笑する。「昔は上に銀行や大企業のオフィスがたくさんあって、通勤時や昼時はサラリーマンでにぎわったもの。顔を覚えて『いつもの』で出すことは今でもありますよ。オフィスや貸し会議室へのコーヒーの出前も多かった。良い時代でした」
アロマ珈琲の天井は低く、一部は斜めになっている。地下駐車場に付設して地下街を造ったため、駐車場へ続くスロープの下に店があるからという。東京駅は各時代の面影を感じられる場所。その薫りをかぎながら、サイフォンでいれたコーヒーを味わった。
文/福﨑圭介 写真/青谷 慶
6時30分~21時15分(土曜は7時~、日曜・祝日は7時30分~) / 元日休/TEL03・3275・3531 ※掲載時の時間です。
(出典:「旅行読売」2022年10月号)
(WEB掲載:2022年10月29日)