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国営ひたち海浜公園の秋~コキアが丘一面を深紅に染める~(1)

場所
> ひたちなか市
見頃
10月上旬~下旬
国営ひたち海浜公園の秋~コキアが丘一面を深紅に染める~(1)

深みのある赤色に紅葉したコキア。午前中は輝きを放ち、夕日を浴びると燃えるように濃い赤色に見える(写真提供/国営ひたち海浜公園)


 

春はネモフィラ、秋はコキア。広大な園地をカラフルに染め上げる

波打つ丘を真っ赤な紅葉で染め上げるコキア。丘の麓から見上げると、コキアを覆う青空がまぶしい。秋の空は澄み渡り、古いにしえの人々は敬意を込めて「御空(みそら)色」と表現した。深紅のコキアと青空、その2色だけで視界が埋まる光景は迫力ある絶景だ。太平洋からの潮風に触覚も嗅覚も目覚め、じわじわと快感が湧き上がる。そんな景色を見られることが、本当に幸せだと思える秋の一瞬である。

コキアが待つのは、国営ひたち海浜公園の「みはらしの丘」。春のネモフィラの花で一躍有名になった場所だ。

コキアはユーラシア大陸の乾燥地帯原産の一年草で、ここで植栽している品種は、その名も「ルージュ」。ネモフィラの花が終わって刈り取った後、例年6月下旬~7月上旬に植え付けるのだが、今年はその数約3万3000本! しかもすべて手で植えるという気の遠くなる作業から「絶景作り」は始まる。よく見ると等間隔できれいに並んでいるのは、丁寧な手作業の賜物だ。

植え付け当初のコキアは15センチほど。これが70センチまで育つ
コキアは9月上旬に直径2ミリほどの小さな花を咲かせる

急斜面での除草作業は重労働。そんな苦労が絶景を生み出す

夏の日差しを浴びたコキアはすくすくと成長し、自然と丸くてかわいらしい姿になり8月下旬には70センチほどの大きさに。取材時はまだ爽やかな緑色に輝いていて、触るともふもふとして柔らかく、「緑コキア」を見に訪れる人も多かった。

一角では除草作業が行われていた。慣れないと上るのにも難儀する急斜面で腰をかがめ雑草を刈っていたスタッフは、「手作業で根まで刈らないと、またすぐに生えてくるからね」「少しでもきれいな景色を見てほしいから頑張っています」と、炎天下での作業中にもかかわらず明るい笑顔で答えてくれた.。

除草作業は根気が必要。 作業の手を休めて記念撮影

コキアは、ただ大量に植えればよいというわけではなく、より美しい風景に見えるように植栽デザインにも工夫を凝らしているという。現場では大量の苗の植え付けや、広い敷地の雑草刈り。絶景を支える知恵と苦労を知ると、感謝の念に堪えない。

園内は広く、ひと休みにちょうどいいレストランやカフェも点在している。その一つの「グラスハウス」は、公園の海浜口近くにあり、ガラス張りの店内からきらめく太平洋が眺められる。ドリンクやスイーツメニューのほかグラスハウスのカレーピラフなどの軽食も用意。休憩のみの利用もできる。

店内からは爽やかな太平洋の眺めが楽しめる
奥久慈たまごのシフォンケーキ (天日ほしいもジェラート添え)680円、いばらきフルーツ和紅茶550円

茨城ならではのスイーツで英気を養ったら、再び園内散策に出かけよう。

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

 

国営ひたち海浜公園の秋~コキアが丘一面を深紅に染める~(2)へ続く



国営ひたち海浜公園

問い合わせ:TEL029-265-9001(ひたち公園管理センター)

 

(出典:「旅行読売」2022年11月号)

(Web掲載:2022年11月17日)

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Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。現在、月刊「旅行読売」編集部副編集長。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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