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【桜の咲く駅へ】あいの風とやま鉄道で行くあさひ舟川「春の四重奏」

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 富山県
> 朝日町
見頃
4月上旬~中旬
【桜の咲く駅へ】あいの風とやま鉄道で行くあさひ舟川「春の四重奏」

チューリップは連作できないので、「四重奏」の色合いは一期一会

 

残雪の朝日岳の前に桜と菜の花とチューリップが並ぶ

あいの風とやま鉄道泊駅からタクシーで10分ほど。舟川べり桜並木のそばにチューリップ畑が広がる。畑には立ち入り禁止だが、畑と畑の間の農道から見上げると、桜並木と菜の花、チューリップが層をなし、背景に残雪の北アルプスがそびえる。

この一幅の絵のような光景が復活したのは2009年のことだ。舟川べりの桜は60年余り前に地域の住民たちによって植えられ、世代を継いで丁寧に管理されてきた。老齢期に入った今も、対策を重ね大切に守られている。チューリップ農家も昔は30軒ほどあり、桜とチューリップを同時に楽しめていたが、農家は減り、人気品種も変わって、そんな光景は消えてしまった。

そこで1軒だけ残ったチューリップ農家、チュリストやまざきが極ご く早わ生せの球根を植え、菜種油を採るために菜の花も植えたところ、奇跡的に〝四重奏〟ができ上がった。明治時代に地元の先覚者が点在していた家々を移転、耕地整理をして田んぼを大きくしたこともあり、人工物のない大パノラマが実現したのである。

チューリップの球根を植える作業。1300 ヘクタールに20品種、60万球栽培されている

チューリップは連作できないので定期的に栽培場所を変えていく。地域や農家の人たちの手で、一期一会の絶景が育まれている。

4月3日~16日のイベント期間中は、桜並木周辺駐車場で花見弁当や切り花なども販売し、桜の開花期間は夜間のライトアップも行う。

桜をじっくり楽しむなら、舟川べりをゆっくり歩きたい。1.2キロの遊歩道に280本の桜のトンネルが続く。時間がたつのを忘れるほどの美しさだ。 

舟川べりの桜のトンネル。地域の人が中心となり、大切に管理している
泊―入善駅間を走る、あいの風とやま鉄道の列車 (写真/あいの風とやま鉄道)
富山駅では鉄印(300円~)がもらえる

あいの風とやま鉄道は新潟県の市振(いちぶり)駅から石川県の倶利伽羅(くりから)駅まで約100キロを結ぶ。車窓に立山連峰を眺めながら富山駅に向かう。富岩(ふがん)運河環水公園や松川べりなど、駅から歩ける桜の名所も多い。松川べりでは3月下旬から遊覧船も運行する。2.5㌔続く川沿いの桜を船から眺めるのもいい。

文/高崎真規子

富山駅から徒歩10分の松川べりの桜 と遊覧船(写真/とやま観光推進機構)

あさひ舟川「春の四重奏」

見頃:4月上旬~中旬

朝日岳と舟川べりの桜並木、菜の花、チューリップが同時に見られる。4月5日~16日には、泊駅から見物エリア周辺まで無料バスを運行。

TEL:0765ー83ー2780(朝日町観光協会)

※データは掲載時のものです。

 

(出典:「旅行読売」2023年4月号)

(Web掲載:2023年3月29日)

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Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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