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【天空の紅葉旅】5種の乗り物を乗り継ぎ別天地へ 立山黒部アルペンルート(3)

場所
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  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県

  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 富山県
> 中新川郡立山町,大町市
見頃
9月下旬~10月下旬
【天空の紅葉旅】5種の乗り物を乗り継ぎ別天地へ 立山黒部アルペンルート(3)

中央のアーチ式と両サイドの重力式を組み合わせた黒部ダム。右岸の新展望広場や、その上の展望台が撮影スポット(写真/ピクスタ)

 

堰堤の高さ日本一の巨大な「黒四ダム」の上を歩く

【天空の紅葉旅】5種の乗り物を乗り継ぎ別天地へ 立山黒部アルペンルート(2)から続く

翌日は室堂ターミナルからトロリーバスに乗って立山を貫く雄山直下のトンネルを走り、大観峰(だいかんぼう)へ抜ける。9月下旬~10月上旬の紅葉期、標高2316メートルの大観峰の展望台から見えるのは、エメラルドグリーンの黒部湖に向かって下る山の斜面を覆うブナやナラの木々が、オレンジや黄色に色付く絶景だ。V字を描く後立山連峰の山肌は針葉樹が多く、コントラストも美しい。

大観峰と黒部平を結ぶ立山ロープウェイは雪害対策で途中に支柱がないワンスパンロープウェイとしては日本一の長さの1700メートルあり、紅葉の絨毯(じゅうたん)の上、空中遊泳が楽しめる。

上部の架線から電気を供給して走るトロリーバスは日本唯一
大観峰~黒部平を行き来する立山ロープウェイ
黒部平駅の屋上のパノラマテラスから大観峰を見上げる

黒部平から黒部湖までケーブルカーで下りて黒部ダムの堰堤(えんてい)を歩く。黒部川第四発電所(黒四)の水力発電専用ダムとして7年の歳月をかけて1963年に完成した。堰堤の高さ186メートルは日本一だ。北アルプスの奥地に造り上げた巨大人工物には、自然と人間との闘いの記憶が刻まれ、その質量に圧倒される。

高さ186メートルの堰堤から見下ろす観光放水は迫力満点
建設工事で殉職した人たちの慰霊碑
完成60周年記念のダムカードはレストハウス売店で配布(無料、なくなり次第終了)

ダム建造の発端は戦後の電力不足だった。「国からの許可条件には観光放流や遊覧船の設置がありました。元々、後年の観光利用が想定されていたのです」と関西電力黒四管理事務所の曽我俊介さん。「右岸の展望台やダム湖の遊覧船ガルベなど、さまざまな角度から黒部ダムの大きさと魅力を感じてください」

関西電力の黒四管理事務所の曽我俊介さん

電気バス終点の扇沢駅から特急バスで長野駅へ出るか、路線バスで信濃大町駅に行き大糸線経由で帰る。最大高低差が約2000メートルある山岳ルートは、初めて見るスケールの大きな風景の連続だった。

文/福﨑圭介 写真/青谷 慶ほか

写真協力/立山黒部アルペンルート

 

【モデルコース】

富山駅
↓富山地方鉄道1時間5分
立山駅
↓立山ケーブルカー7分
美女平駅
↓立山高原バス50分(弥陀ヶ原は途中下車)
室堂ターミナル
↓徒歩30分~40分
雷鳥荘<泊>
↓徒歩30分~40分
室堂ターミナル
↓立山トンネルトロリーバス10分
大観峰駅
↓立山ロープウェイ7分
黒部平駅
↓黒部ケーブルカー5分
黒部湖駅
↓徒歩15分
黒部ダム駅
↓関電トンネル電気バス16分
扇沢駅
↓特急バス1時間45分
長野駅

 

 

黒部ダム周辺の楽しみたいポイント

黒部湖遊覧船ガルベ

満水時には湖面が標高1448メートルになる黒部湖を約30分で周遊する、日本一高所を運航する遊覧船。エメラルドグリーンの湖上から、針葉樹が多い長野県側と広葉樹が多く紅葉する富山県側の山並み、黒部ダムを眺める。ガルベは「黒部」の語源になったアイヌ語に由来。

■6月~11月上旬の9時~15時(1時間に1本程度)/荒天時、水位低下時休/1200円/黒部ケーブルカー黒部湖駅から徒歩5分/TEL:0261-22-0804(くろよん総合予約センター)

※掲載時のデータです。

 

黒部ダムレストハウス

黒部ダム駅側にあるレストランと休憩所。ブームのはしりとなったダムカレーは、黒部湖の色を模したグリーンカレーにヒレカツを載せた黒部ダムカレー1300円や、昭和40年代に関連食堂で出していた伝統のアーチダムカレー1160円(ちくわ磯辺揚げ付きの竣工60周年特別版)など。破砕帯の湧水を使ったハサイダーなどの土産を販売する売店もある。

■レストランは10時~15時(売店は9時~16時)/関電トンネル黒部ダム駅から徒歩5分、黒部ケーブルカー黒部湖駅から徒歩10分/TEL:0261-22-0804(くろよん総合予約センター)

※掲載時のデータです。


【観光の問い合わせ】
立山町観光協会/TEL:076-462-1001
大町市観光協会/TEL:0261-22-0190

(出典:旅行読売2023年10月号)
(Web掲載:2023年10月22日

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Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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