【天空の紅葉旅】5種の乗り物を乗り継ぎ別天地へ 立山黒部アルペンルート(2)
立山ロープウェイの眺めは、アルペンルートの紅葉風景のハイライト
室堂散策や立山登山の拠点、室堂ターミナルを目指す
【天空の紅葉旅】5種の乗り物を乗り継ぎ別天地へ 立山黒部アルペンルート(1)から続く
再び高原バスに乗って、目指す室堂ターミナルに着いた。アルペンルートの交通の結節点で、立山黒部貫光が運営するホテル立山やレストラン、売店など各種の店舗があり、室堂散策や立山登山の拠点となる。
「立山は火の山、隆起の山、水の山」と話すのは観光ボランティア「立山りんどう会」の髙田浩会長。「アルペンルートの魅力は、麓から乗り物を乗り継げば、あっという間に2450メートルの高地、室堂に来られること。3000メートル級の立山三山(雄山<おやま>、浄土山、別山<べっさん>)、剱岳(つるぎだけ)の絶景が広がる別世界にすぐに来られるのです」
その言葉通りの山並みを見上げ、澄んだ空気と涼風を感じながら、みどりが池やみくりが池を巡った。途中、タテヤマリンドウやチングルマなどの高山植物の可憐(かれん)な花を見て、みくりが池温泉のレストランで昼食をとり、宿泊する雷鳥荘まで1時間以上かけてゆっくり歩いた。宿の前には缶ビール片手に雷鳥沢を眺める登山者たちの姿。9月中旬からの紅葉期は一帯が草紅葉となり、ナナカマドなどが所々赤く色付くという。
夜空が見られるのは山小屋に泊まる者の特権だろう。稜線の上、月と空が近い。月が沈み雲が風に払われた後に見えた空は無数の星がきらめき、忘れられない風景となった。
地名には修験(しゅげん)の名残がある。立山は霊山として信仰を集め、雄山などを極楽浄土、地獄谷を地獄に見立てた「立山曼荼羅(まんだら)」を携えた芦峅寺(あしくらじ)の御師(おし)が参詣を広めた歴史があるという。室堂は修験者が宿泊し祈祷(きとう)を行う堂の意。こうした背景を知ると、風景の見え方が変わってくる。
文/福﨑圭介 写真/青谷 慶ほか
写真協力/立山黒部アルペンルート
【天空の紅葉旅】5種の乗り物を乗り継ぎ別天地へ 立山黒部アルペンルート(3)へ続く
【モデルコース】
富山駅
↓富山地方鉄道1時間5分
立山駅
↓立山ケーブルカー7分
美女平駅
↓立山高原バス50分(弥陀ヶ原は途中下車)
室堂ターミナル
↓徒歩30分~40分
雷鳥荘<泊>
↓徒歩30分~40分
室堂ターミナル
↓立山トンネルトロリーバス10分
大観峰駅
↓立山ロープウェイ7分
黒部平駅
↓黒部ケーブルカー5分
黒部湖駅
↓徒歩15分
黒部ダム駅
↓関電トンネル電気バス16分
扇沢駅
↓特急バス1時間45分
長野駅
立山室堂の紅葉旅の宿
らいちょう温泉 雷鳥荘
雷鳥沢と地獄谷を眺める山歩きの拠点となる山小屋。宿の前からは雷鳥沢の眺めが良い。大浴場は沸かし湯の湯船と、奥大日岳などの山並みを望む単純温泉の展望風呂がある。夕食は和定食、朝食はバイキング形式。暖炉付きの談話室や喫茶室でくつろげる。収容人数260人(個室43室、相部屋10室)は、ホテル立山と並び室堂最大級だ。
【料金】1泊2食1万1100円~(相部屋)、1万2600円~(個室)/日帰り入浴1000円
【交通】室堂ターミナルから徒歩30分~40分
【住所】富山県立山町室堂/TEL:076-463-1664
※掲載時のデータです。
みくりが池温泉
みくりが池のそば、標高2410メートルに立つ「日本秘湯を守る会」の宿で、「日本一高所の天然温泉」をうたう。単純酸性泉の乳白色の温泉は展望が良く、立ち寄り入浴も人気。レストランのランチは、富山ブラックラーメンや白エビ料理を提供。喫茶店や売店、ソフトクリームなどのスイーツ販売もあり、休憩地としてもおすす
【料金】1泊2食1万800円~(相部屋)、1万3000円~(個室)/日帰り入浴1000円
【交通】室堂ターミナルから徒歩15分
【住所】富山県立山町室堂平/TEL:076-463-1441
※掲載時のデータです。
立山室堂山荘
室堂ターミナルから近い山小屋。立山の主峰・雄山への登山口、標高2450メートルにある。立山連峰を一望する眺めの良い大浴場が人気。食事は和定食。食堂のランチ利用は軽食、アルコール飲料、コーヒーを提供。1726年築の日本最古の山小屋「立山室堂」(国の重文)が隣接しており、見学できる。
【料金】1泊2食1万1550円~(相部屋)、1万2100円~(個室)/日帰り入浴700円
【交通】室堂ターミナルから徒歩10分
【住所】富山県立山町室堂/TEL:076-463-1228
※掲載時のデータです。
【観光の問い合わせ】
立山町観光協会/TEL:076-462-1001
大町市観光協会/TEL:0261-22-0190
(出典:旅行読売2023年10月号)
(Web掲載:2023年10月21日