【ご当地あんこの世界】さいちのおはぎ
あんこは北海道産小豆を使用。ご飯は宮城県産のもち米「みやこがねもち」にうるち米をブレンド
仙台に行かないと食べられない!1日5000個売れる伝説のおはぎ
仙台中心部から車で30分、秋保(あきう)温泉街にあるスーパー「さいち」が朝9時を迎える頃、オフシーズンの平日にもかかわらず20人もの行列ができていた。店に入ると通路両側の商品棚には左手に煮物などの総菜、右手におはぎがずらりと並んでいて、お客さんの持つカゴにおはぎのパックが飛ぶように収まっていく。すぐに売り切れてしまうのではと心配になるが、絶妙なタイミングで奥の厨房(ちゅうぼう)からスタッフがおはぎを補充する。
さいちは大正時代、米や酒などを扱う佐市商店として創業し、1979年からスーパーに。おはぎは現在の代表取締役で4代目、佐藤浩一郎さんの母・澄子さんが80年代、「都会暮らしの家族に食べさせたいけれど、うまくできないから」とお客さんに頼まれたのをきっかけに試作を重ね、店に出すようになった。
あんこのおはぎを箸で持つと、ずしりと重さを感じ、一口目ではなかなかご飯に達しないほどあんがたっぷり。控えめな甘さで、塩気が味を引き立てる。「ほかと違って砂糖より小豆(あずき)の量が多く、日持ちしません。今日中に食べてくださいね」と佐藤さん。販売当初は「砂糖をケチっているんじゃないか」と言われ、売り場に持ち帰り用の砂糖の小袋を置いていた。だが次第に利用者は減り、今ではもちろん置いていない。ぶれない味に時代が追い付いたのだ。
通年で提供されるおはぎはあんこ、きなこ、ごまの3種。砂糖と塩のみで味付けしたきなことごまはパックの中にぎっしり!10月〜5月には納豆も仲間入りする。豆の味をしっかり感じられる納豆がご飯によく絡み、大葉やネギの風味も良い。どれも甲乙つけ難く、売り上げが1日平均5000個、行楽シーズンなどには1万5000個に達するというのも大いにうなずける。
おはぎができるまで
さいち
■9時〜19時/第2・4水曜休(祝日は営業)、1月1日〜4日休/東北新幹線仙台駅からバス54分、薬師下車すぐ/東北道仙台南ICから8.8キロ/仙台市太白区秋保町湯元薬師23/TEL:022-398-2101
文/堀内志保
写真/堀内 孝
(出典:旅行読売2023年11月号)
(Web掲載:2023年11月5日)