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【道の駅へドライブ】さんさん南三陸、硯上の里おがつ、おながわ(1)

場所
> 南三陸町、石巻市、女川町
【道の駅へドライブ】さんさん南三陸、硯上の里おがつ、おながわ(1)

おすすめの10種以上のネタがすし飯を彩る弁慶鮨の海鮮丼

過去と未来をつなぎ 再びにぎわいを生み出す

東日本大震災から12年が経った。津波で甚大な被害を受けた宮城県の沿岸部には、2021年以降、三つの道の駅が新設され、復興のシンボ
ルとして住民や観光客でにぎわう。リアス海岸沿いに並ぶ道の駅を巡るドライブに出かけよう。


まずは志津川(しづがわ)湾に面した南三陸町へ向かった。三陸道志津川ICで降り、海を目指して南下すると道の駅さんさん南三陸が見えてきた。初めに訪れたのは、南三陸町東日本大震災伝承館 南三陸311メモリアル。この一帯は、震災前は住宅や商店などが立ち並ぶ町の中心地だった。「南三陸では震災を伝える物は多く残っていません。住民の証言映像などを通じ、自然災害を自分のこととして考えるプログラムを設けています」と南三陸町観光協会の西田早織さん。大災害から命を守るためにどう備え、行動すべきかを考えるきっかけになりそうだ。

開催中の企画展では、震災前の街並みの模型が展示されていた。「この中には現在は南三陸さんさん商店街で営業している店もありますよ」とチーフの吉岡一浩さんが教えてくれた。商店街は震災後に仮設としてスタートし、17年にかさ上げされた現在地にオープンした。今は
28店舗が営業している。

 

南三陸杉をふんだんに使った建物は、国立競技場などを手掛けた隈研吾氏による設計

南三陸町東日本大震災伝承館 南三陸311メモリアル

住民の震災体験に触れる展示ギャラリー、仏のアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーに
よるアートゾーン、映像を通じ自然災害について自ら考えるラーニングシアターなどからな
る。5月15日まで企画展「あの頃に会いに行く南三陸の暮らし展」を開催。

 

企画展の模型は初めて訪れる人にも震災前の町の姿を伝えてくれる

ひとことPR!

南三陸町観光協会

西田早織さん

震災について学んだり、おいしいものを食べて魅力を見
つけたり、いろいろな視点から南三陸を楽しめます。

 

店先には食欲をそそるメニュー写真がずらりと並ぶ

1983年創業の弁慶鮨は、被災後、埼玉県への避難を経て、この商店街に店を構えた。自慢の海鮮丼は、「西の明石、東の志津川」と称されるタコをはじめ、ホタテや県内で水揚げされた生マグロなどの新鮮な海の幸が盛り付けられ、思わずため息が出た。「各店が旬の味を競う名物の南三陸キラキラ丼は、5月から一番人気のうに丼が登場します。南三陸は養殖ギンザケ発祥の地。4月から6月はおすすめです」と同店2代目の菅原賢(すぐる)さん。三陸の海の恵みは健在だ。

商店街では海産物のほか、スイーツや土産物など、ここでしか買えない品も多い。震災後に開店した店もあり、行き交う人々を見ていると、復興へ向かう町の「現在」を肌で感じることができた。

文/堀内志保 写真/堀内 孝

弁慶鮨

南三陸さんさん商店街では唯一の寿司(すし)店。店内にはカウンター席のほか、テーブル席や掘りごたつタイプ
の座敷席がある。今日のヅケ丼1600円や握り寿司2500円などもおすすめ。「ミシュランガイド宮城2017特別版」に掲載された。

弁慶鮨2代目の菅原さん

南三陸さんさん商店街

住民の生活に密着した店に加え、飲食店や鮮魚店など地元食材を生かした店が多い。
商店街の名には、「さんさんと輝く太陽のように笑顔とパワーに満ちた商店街にしたい」
という願いが込められている。

山内鮮魚店は旬の魚介類や自社の加工品などを求める人でにぎわう

2022年10月OPEN

さんさん南三陸 
☎0226・46・1385(南三陸町商工観光課)

住 南三陸町志津川五日町200-1 営【南三陸町東日本大震災伝承館 南三陸311メモリアル】9時〜17時/火曜、年
末年始休 【南三陸さんさん商店街】店舗により異なる。弁慶鮨は11時〜15時、夜は要予約/木曜休 ¥【南三陸町
東日本大震災伝承館 南三陸311メモリアル】レギュラープログラム 60分1000円、ショートプログラム30分600円
交三陸道志津川ICから2キロ P【普通車】226台【大型車】16台

※掲載時のデータです

【道の駅へドライブ】さんさん南三陸、硯上の里おがつ、おながわ(2)へ続く

(出典:「旅行読売」2023年5月号)

(Web掲載:2023年4月28日)

 


Writer

堀内志保 さん

埼玉県生まれ。1999年から2年あまり社会人類学の調査でアフリカ大陸の沖に浮かぶマダガスカル島に滞在。『マダガスカルを知るための62章』(明石書店)では、市場と割礼祭の章を担当した。2003年から宮城県に住み、写真家の夫とともに東北各地の自然や歴史、食、温泉、手仕事などに触れ、新聞や雑誌に記事やエッセイを発表している。

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