ナニコレ!?みやげ 東京都の巻 切腹最中
「忠臣蔵」ゆかりの和菓子店が売り出す
江戸時代中期の元禄14年3月14日(1701年4月21日)、江戸城内で赤穂藩藩主・浅野内匠頭(たくみのかみ)が高家・吉良上野(こうずけ)介(のすけ)に刃傷に及んだことに端を発するのが「忠臣蔵」。加害者とされた浅野は、一関藩主田村右京太夫邸に預けられ、即日切腹となった。
1990年、これをヒントに「切腹最中(もなか)」を売り出したのは、田村邸跡の一角に当時店舗を構えていた和菓子店新正堂3代目の渡辺仁(よし)久(ひさ)さんだ。
お得意様へのおわび用でヒット
渡辺さんは、「『忠臣蔵』にまつわる数々の語りぐさがこの菓子を通じて、皆様の口の端にのぼれば」との思いを込めた。発売前、周囲からは「切腹」という言葉に反対論も強かった。だが、顧客に損をさせた営業マンが、「切腹最中」を持って行くと、相手が上機嫌になった、という話が広まり、たっぷり入った餡のおいしさもあってヒット商品になった。
上司と部下の意思疎通にも威力
十数年前、ある大企業の管理職が店に来て、「切腹最中」を45個も買い込んだ。「若い連中に配って『腹を割って話そうや』と言ってみる」とのことだった。その後、管理職は「うまくいった」と笑顔で報告に来た。
1992年からは「景気上昇最中(さいちゅう)」も
92年からは、世の中に元気を振りまこうと「景気上昇最中」も売り出している。「最中」には、ユーモア精神から「さいちゅう」とふりがなをつけた。渡辺さんは「これからも、お客様の話がはずむお菓子作りに打ち込みます」と力を込める。
文/藤原善晴
買える場所
東京都港区新橋4丁目の新正堂店舗や羽田空港売店など
お取り寄せ情報
新正堂オンラインショップ
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問い合わせ
新正堂
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