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【美しき天守へ】徳川御三家の威光を伝える西国支配の拠点 和歌山城

場所
> 和歌山市
【美しき天守へ】徳川御三家の威光を伝える西国支配の拠点 和歌山城

標高48メートルの虎伏山(とらふすやま)に立つ天守。石垣に多く使われている紀州青石も見どころ

 

古くからの海路の要衡の地に築城された和歌山城

和歌山城の歴史は安土桃山時代に遡る。紀州を平定した豊臣秀吉が、弟・秀長に築城を命じたのが始まりだ。城づくりの名人、藤堂高虎(とうどうたかとら)らが普請奉行(ふしんぶぎょう)を担ったという。

1619年、家康の十男・頼宣(よりのぶ)が18歳で入城。紀州藩55万5000石の初代藩主だ。頼宣は幕府から銀2000貫を賜(たまわ)り、城の増築を大規模に実施。西国支配の拠点を守り、紀州藩繁栄の地盤を固めた。

天守から眺めると、紀の川の河口から青々とした流れが紀淡海峡へと注ぎ込んでいる。水平線に浮かぶのは淡路島と四国だ。紀伊半島北西端に位置する和歌山市は古くから海路の要衝。2代将軍、秀忠が紀州に弟の頼宣を置いた理由がよくわかる。

天守最上階からは市街地や紀の川、紀淡海峡など四方を一望(写真/公社・和歌山県観光連盟)

昭和に入り、天守は旧国宝にも指定されたが1945年の空襲で一夜にして焼失する。終戦後は再建の機運が高まり、市民からも多くの寄付が集まった。天守は58年に鉄筋コンクリートで再建。焼失前の外観が忠実に再現されている。

天守の内部は資料館になっており、武具や衣装など紀州藩ゆかりの遺品が展示されている。和歌山城は大天守、小天守、隅櫓(すみやぐら)を長屋形式の多門(たもん)櫓でつなぐ連立式天守で、内部をぐるっと一周する形で見学する。

天守を出て坂道を下り、南東にある岡口門に向かう。空襲の際に難を逃れた貴重な遺構である。江戸時代前期の建造とされ、上部に櫓を置く堂々たる門構えだ。北側にある土塀も往時のもので、射撃用の小窓(銃眼)が12か所見て取れた。

続いて立ち寄ったのは、名勝・西之丸庭園だ。頼宣が作ったとされる大名庭園で、モミジの名所。見頃は11月下旬〜12月上旬で、茶室で抹茶が味わえるのも魅力だ。

国の重要文化財に指定されている岡口門。築城当初は大手門として使われていた
西之丸庭園(紅葉渓庭園)は9時〜16時45分、無料。茶室(〜16時)もある。抹茶は470円で生菓子付き ※掲載時のデータです

和歌山城を堪能したら、バスで海辺の和歌の浦へ。古代から多くの和歌に詠まれた景勝地で、紀州徳川家の聖地でもある。家康と頼宣を祀ま つる紀州東照宮、頼宣の母・養珠院(ようじゅいん)を供養する海禅院(かいぜんいん)多宝塔、10代藩主の徳川治宝(はるとみ)が架けた不老橋(ふろうばし)など、紀州徳川家ゆかりの史跡を巡りたい。

徳川治宝により1851年に建造された和歌の浦の不老橋

文/北浦雅子

モデルコース(移動時間 約1時間20分)
和歌山駅
 ↓ バス6分+徒歩10分
❶和歌山城天守閣
 ↓ 徒歩5分
❷岡口門
 ↓ 徒歩10分
❸西之丸庭園
 ↓ 徒歩2分+バス15分
❹不老橋
 ↓ バス30分
和歌山駅

和歌山城御城印

城下町グルメ

割烹 六つ葵 ◉割烹料理

和歌山城から徒歩10分のホテル内にある和食店で、魚介や野菜、調味料など地元の素材にこだわった料理が評判だ。多彩な味を楽しめる「小鉢寄」2200円はランチ限定のメニュー。予約なしでも気軽に味わえる。
■11時30分〜14時、17時30分〜20時30分/月・火曜休/和歌山市湊通丁北2-1-2(ホテルアバローム紀の国1F)/紀勢線和歌山駅からバス9分、県庁前下車徒歩5分/TEL:073-436-1235

※掲載時のデータです。


和歌山城 <100名城>

築城: 1585(天正13)年築城開始/豊臣秀長、1621(元和7)年改修開始/徳川頼宣
種類:平山城
天守:三層三階(外観復元)
遺構:岡口門、土塀、追廻門、石垣、堀
入城:天守は9時〜17時/12月29日〜31日休/410円
御城印: あり(300円)。天守閣券売所で販売。
交通:紀勢線和歌山駅からバス6分、和歌山城前下車すぐ
住所:和歌山市一番丁3
TEL:073-422-8979(和歌山城天守閣)

※掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2023年11月号)
(Web掲載:2023年11月9日)

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Writer

北浦雅子 さん

和歌山の海辺生まれで、漁師の孫。海人族の血を引くためか旅好き。広告コピーやインタビューなど何でもやってきた野良ライターだが、「旅しか書かない」と開き直って旅行ライターを名乗る。紀伊半島の端っこ、業界の隅っこにひっそり生息しつつ、デザイナーと2人で出版レーベル「道音舎」を運営している。https://pub.michi-oto.com/

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