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【美しき天守へ】松本城 北アルプスを借景に威厳を保つ黒漆塗りの天守群(1)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 松本市
【美しき天守へ】松本城 北アルプスを借景に威厳を保つ黒漆塗りの天守群(1)

天守群と、3代城主小笠原秀政とその妻登久姫(とくひめ)に扮した「国宝松本城おもてなし隊」。10 月27 日までは下見板と月見櫓欄干部分の漆の塗り替え工事を予定。保全のために毎年実施する工事だ。「おもてなし隊の方々のフレンドリ―な対応がうれしかった」と「たびよみリポーター」の佐藤雅美さん

積み木を重ねたように見える松本城の天守

全国に12か所しかない現存天守のうちの一つで、国宝でもある松本城。現存天守とは江戸時代までに建てられ、修復されながら現在まで残っている城のことだ。そんな貴重な松本城を、城好き、旅行好きの「たびよみリポーター」の佐藤雅美さんと共に訪ねた。

「私には、松本城の天守は積み木を重ねたように見えるんです」。そう話すのは、松本まちなか観光ボランティアガイドの小原照吉(おはらてるよし)さん。黒漆塗りの下見板(板壁)と白漆喰壁のコントラストが美しい天守群は国宝で、大天守を中心に5棟で構成されている。大天守は五重六階。3階に屋根裏部屋のような「隠し階」があるため、内部は6階になっている。現存天守のうち、五重の天守は松本城と姫路城のみだ。12天守のうち最も建物自体が高いのは姫路城。松本城は第2位(29.4メートル)である。

「黒漆喰の下見板によって引き締まった印象を受けますね。町中にある平城なので、のびやかな雰囲気に包まれている点も好きです」と佐藤さん。手前は観光ボランティアガイドの小原さん

手すりにつかまりながら急階段を上って、いざ天守最上階へ

大天守に足を踏み入れると、各階とも柱がむき出しになっていて、その構造がよく分かる。1階と2階を通柱(とおしばしら)で組み立て、その上に3階と4階を通柱で組み、5階と6階を通柱で組んで積み上げ、高層化を図ったという。なるほど「積み木を重ねたような」構造である。使われている柱は222本。うち110本が通柱だ。

各階では城の歴史や変遷などが解説されていて、鎧や火縄銃なども展示されているが、ここが建造当時のままの天守であることを実感したのは、磨き込まれた床や廊下、そして各階を結ぶ急階段だった。特に4階から5階につながる階段は、勾配が61度と城内では最も急。段差も最大で39.2センチあり、手すりにつかまり慎重に上り下りしなくてはならない。万が一、城内に敵が侵入した際、ここが最後の難所となったのではないか?などと想像を巡らせた。

「柱や梁がむき出しの天守内は、その構造がよく分かります」(佐藤)
城内一の急階段。「殿様や家臣らは何を思いながらこの階段を上り下りしたのでしょう?」と往時に思いを馳せた
大天守最上階。屋根裏を見上げると太い梁(はり)が井桁に組まれているのが分かる
最上階から内堀を見下ろす。「急な階段を上ってきたのでちょっと汗ばむかと思いましたが、天守を吹き抜ける涼やかな風が身も心もすっきりさせてくれました。内堀が広いなあと思っていたのですが、最大幅は60メートルもあるそうです」と、佐藤さん
大天守4階にある御座所。城主が天守に入った時に座を構えた場所とされる

文/渡辺貴由 
写真/齋藤雄輝
ヘアメイク/依田陽子

【美しき天守へ】松本城 北アルプスを借景に威厳を保つ黒漆塗りの天守群(2)へ続く

■モデルコース(移動時間 約33分)

松本駅
↓バス 10分
❶松本城
↓徒歩 5分
❷蕎麦倶楽部 佐々木
↓徒歩5分
❸縄手通り
↓ 徒歩3分
❹中町通り
❺中町・蔵シック館
↓ 徒歩10分
松本駅

松本城の御城印

松本城

【築城】1593~94(文禄2~3)年/石川数正・康長
【種類】平城
【天守】五重六階(現存)
【遺構】天守、乾小天守、渡櫓、辰巳附櫓、月見櫓、堀ほか
【入城】8時30分~16時30分(ゴールデンウィーク、夏季時間延長期間は8時~17時30分、1月1日~3日は10時~15時)/12月29日~31日休/700円
【御城印】あり(1枚300円、2種セット500円)。松本城管理事務所で販売
【交通】篠ノ井線松本駅から徒歩20分。またはバス10分、松本城・市役所前下車すぐ 
【住所】松本市丸の内4-1 TEL:0263-32-2902(松本城管理課)

※掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2023年11月号)
(Web掲載:2023年10月6日)


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。現在、月刊「旅行読売」編集部副編集長。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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