【お得きっぷで鉄旅へ】九州の鉄道史に触れながら、明治・大正期の現役駅舎へ(2)旅名人の九州満喫きっぷ利用で6970円お得!

大隅横川駅と同じ1903年築の駅舎で、当時の雰囲気を最もよく残している嘉例川駅
小倉発◉2泊3日
鳥栖🚃三角🚃嘉例川🚃東別府🚃採銅所🚃門司港
~三角線、肥薩おれんじ鉄道、肥薩線、日豊線、平成筑豊鉄道ほか~
◉福岡・佐賀・熊本・鹿児島・大分
開業当時の佇まいが色濃く残る駅
【お得きっぷで鉄旅へ】九州の鉄道史に触れながら、明治・大正期の現役駅舎へ(1)旅名人の九州満喫きっぷ利用で6970円お得!から続く
2日目は鹿児島中央駅から肥薩線の大隅横川(よこがわ)駅へ。私設鉄道が多かった明治30年代、吉松-隼人(はやと)駅間は官営鉄道によって鹿児島線として敷かれた。焦(こ)げ茶色をした下見板張り壁の駅舎は、開業当時の様子を色濃く残している。
大隅横川駅の駅舎は、1903年に官営鉄道鹿児島線が開業した際に建てられた
3駅戻った嘉例川駅も鹿児島線開業当時の駅舎だ。待合室に置かれた古いベンチ、未舗装のままの駅前など、明治時代そのままの雰囲気が漂う。週末のみ限定販売されるやまだ屋の駅弁「百年の旅物語 かれい川」を購入してホームで食べれば、レトロな旅気分も盛り上がるだろう。
【百年の旅物語 かれい川】◉1800円。 嘉例川で原木栽培されたシイタケとタケノコがのった炊き込みご飯や、鹿児島の郷土料理「がね」の天ぷらなどが竹皮の弁当箱に入っている。10時頃~売り切れ次第終了。土・日曜、祝日のみ営業(森の弁当やまだ屋/TEL:090-2085-0020)
日豊線を北上する途中、宮崎駅で1953年から販売しているという「椎茸めし」を購入し、延岡駅へ向かう。この先、上りの普通列車は1日たったの2本。同区間にある宗太郎駅は秘境駅で知られ、観光列車が特別停車する。そんな貴重な列車で佐伯駅へ向かい2日目は終了。
【椎茸めし】◉900円。 1953年の発売以来、70年以上継ぎ足してきた煮汁で煮込んだ宮崎県産のシイタケがおいしい(宮崎駅弁当/TEL:0985-29-0287)
3日目は、狩生(かりう)駅や臼杵(うすき)駅付近で車窓に海を眺めながら日豊線をさらに北上する。大分県で最も開業当時の面影を残す東別府駅へ立ち寄り、行橋(ゆくはし)駅から平成筑豊鉄道経由で油須原(ゆすばる)駅へ。建築された当時の佇まいを復元しようと、2022年に改修工事を済ませた駅舎は、九州で現存最古ではないかと言われている。この日は油須原駅近くのうどん亀でとろろざるそば定食のランチを。
東別府駅は、鉄道院豊州線(のちの日豊線)が開業した1911年の建築
豊州鉄道(のちに九州鉄道に合併)が1895年の開業時に建設した九州最古の駅舎と言われる油須原駅
【うどん亀】こだわりの自家製手打ちそばに大和芋がたっぷり入ったそばつゆがセットになったとろろざるそば定食(1100円)が人気。
■11時~14時30分/木曜・第3水曜休/油須原駅から徒歩10分/福岡県赤村赤5071-5/TEL:080-8125-1937
その後、田川伊田(いた)駅を経由して向かった日田彦山線の採銅所駅は、洋風の木造駅舎で、茶色い柱にクリーム色の壁が目を引く。
1915年、小倉鉄道開業時に作られた木造洋風建築の採銅所駅。2017年にリニューアルした
最後は西小倉駅に出て門司港駅へ。本州との連絡口として、九州鉄道が1891年に開業(当時は門司駅)。現在の場所に移転した際に建てられた駅舎は、2019年に復元工事を終え、一般に公開された。現在、日本に二つしかない重要文化財の駅舎となっている。木造2階建ての荘厳なネオルネサンス様式の駅舎に大正ロマンの風情を感じながら、旅を締めくくろう。
文・写真/越 信行
日豊線の天津駅付近からは、別府の鶴見岳方面の山々を眺められる
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年7月号)
(Web掲載:2025年8月22日)