【夜行列車の旅】気軽に楽しめる夜行列車「WEST EXPRESS 銀河」 京都-下関

瀬戸内海を車窓に見ながら下関へ向かう(写真/ピクスタ)
璃紺紺色のカラーリングが美しい特別仕様の「銀河」
全国各地で走っていた寝台列車、いわゆるブルートレインが姿を消す中、気軽に楽しめる夜行列車として2020年9月に運転を開始したのが特急「WEST EXPRESS 銀河」だ。
最近は観光列車を中心にパッケージ化された旅行商品として販売されており、団体臨時列車扱いとなれば時刻表に載らないことが多い。ところが、「銀河」は臨時列車として時刻表に掲載され、寝台料金は不要で運賃に指定席特急料金やグリーン料金を加えるだけで乗車することができる。全く新しいコンセプトの夜行列車と言えるだろう。
車両は国鉄時代に製造された117系電車6両編成を改造した瑠璃紺(るりこん)色のカラーリングが美しい特別仕様。1号車はグリーン車指定席のファーストシート、2・3・5号車は普通車指定席のリクライニングシート、クシェット、ファミリーキャビン、6号車はグリーン個室のプレミアルーム、4号車は車両すべてがフリースペースで構成されている。好みのシートで長時間の乗車を堪能しよう。
瑠璃紺色に塗られた車両(写真/JR西日本)
シートを倒すとベッドになるファーストシート(1号車)(写真/JR西日本)
プライベートな空間が確保されるプレミアルーム(6号車)(写真/JR西日本)
シーズンによって主に山陽、山陰、紀南(和歌山方面)の三つのコースで運転されている。今年は8月9日まで京都―下関駅間を往復する山陽コース、8月25日〜10月29日に京都―新宮駅間を往復する紀南コースを設定している。
「銀河」の楽しみの一つが観光列車に負けず劣らずの〝おもてなし〟だ。下り列車は京都駅を21時15分に発車、夜のとばりが下りるなか東海道・山陽線をひたすら西へ向かう。途中の姫路駅には23時48分に到着し、0時42分に発車するまでホームで姫路名物のまねきのえきそばが食べられる(金曜発の下り列車のみ)。
朝日に輝く瀬戸内海が車窓に映り、柳井(やない)駅では約18分の停車時間があり、駅弁の立ち売りスタイルで鯛めしなどを販売。柳井、山口、宇部、萩、岩国、防府(ほうふ)の各市の観光展示、岩国―新下関駅間では特定日に特産品の車内販売も行われる。
下り柳井駅では立ち売りスタイルで駅弁を販売
朝食におすすめの鯛めしや特産品を使ったおにぎり
上り列車は下関を19時43分に発車。長時間の停車はないが、車内のおもてなしが充実している。下関、防府、周南(しゅうなん)、山口、岩国の各市の特産品を特定日に車内で販売。日本酒、地ビールなどアルコールを嗜(たしな)む 〝飲み鉄〟も鉄道の旅ならではの特権だ。夜行列車の魅力がたっぷり詰まった「銀河」に乗って山陽コースを楽しみ尽くしたい。
文/松尾 諭
運 転 日 8月9日までの月・金曜(京都→下関)、水・土曜(下関→京都) ※一部日程を除く
運行区間 京都―下関(山陽コース)
料金 1万2950円(リクライニング・クシェットの場合の片道料金)運賃9460円+普通車指定席特急料金(通常期)3490円=1万2950円
販売 JR西日本インターネット予約(e5489)、みどりの窓口など
(出典:「旅行読売」2025年8月号)
(Web掲載:2025年7月9日)