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マグロの街・三崎の歴史を味わう

場所
> 三浦市
マグロの街・三崎の歴史を味わう

三崎マグロと三浦産ネギの「ねぎま鍋」。江戸時代のマグロの食べ方の一つだ

「マグロの町・三崎」のルーツは?

東京湾と相模湾を隔てる三浦半島の最南端。神奈川県三浦市は「三崎マグロ」や「三浦大根」など、第一次産業が盛んな街だ。品川駅から京浜急行で65分、横浜駅からは50分とアクセスも良好で、近年は三崎のマグロ丼や海鮮丼を求めて、関東一円から多くの観光客が訪れる。

「マグロの町・三崎」のルーツはどこにあるのか。ヒントは葛飾北斎の名所浮世絵『富嶽三十六景』の一つ「神奈川沖浪裏」に描かれている。

「この世界的に有名な版画に、大波にもまれる舟が描かれています。三崎と江戸・日本橋を結んだ『押送船(おしょくりぶね)』です」

説明してくれたのは、観光ガイドの通称”ジョニー”さん。三浦市の歴史に詳しい観光ガイドだ。

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押送船が描かれている葛飾北斎の「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」
(東京富士美術館蔵 「東京富士美術館収蔵品データベース」収録 )

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三浦の歴史に詳しい観光ガイドの”ジョニー”さん

「江戸時代、押送船は三崎に揚がった鮮魚を載せ、江戸・日本橋近くの「新肴場」(魚市場)まで、36里(約140キロ)を一昼夜で運んでいました。漕ぎ手は屈強な男たち。いかに速く江戸まで荷を届けるか、船ごとにスピードを競っていました」

江戸時代、人口が急増し巨大市場となっていた江戸の街。魚市場も需要の増加に応えるため、日本橋の他に鮮魚専門の「新肴場」が開設される。それまで、白身のタイやヒラメなどが江戸っ子たちに好まれていた一方、赤身のマグロは足が速く(=鮮度が落ちやすく)、「シビ」「猫またぎ」とも言われ見向きもされていなかった。

しかし江戸時代後期になると、銚子で作られた濃口醤油が登場。マグロの赤身を濃口醤油につけて食べると「こりゃ旨い!」と評判になる。押送船で新肴場に運ばれた三崎のマグロは濃口醤油で「ヅケ」にされ、江戸の人々に広まっていった。

元々マグロやカツオなど、様々な魚が上がっていた三崎。キハダマグロなら押送船1艘で50本(約2トン)を運んだと言われる。こうして三崎は江戸の食文化を支える町になった。ちなみに、浦賀奉行所が警備船として導入した押送船は、幕末に来航したペリー艦隊のカッターよりも速かったという。

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三崎港。江戸時代、新肴場へマグロを運ぶ押送船で賑わった

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982年創建の海南神社は三浦半島の総鎮守

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魚問屋が寄進した海南神社境内の灯籠。「新肴場」の文字が刻まれている

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三崎の魚商が寄進した海南神社の橋の擬宝珠。嘉永元年(1848年)はペリー来航の5年前

さて、令和の三崎でマグロをいただこう。「紀の代」の「おまかせすし」は、種類が違うマグロのにぎり(大トロ・ヅケ・ビントロなどが日替り)が盛り込まれ、その違いがよく分かる。

「まぐろカブトの解体ショー」を見学できるのは「くろば亭」。骨髄、皮、卵などの珍味から、のど肉、ハラミ、尾身などの希少部位の刺身、三崎では「茜身(あかねみ)」と呼ばれる血合いのたれ焼きなどを提供。部位によって味、風味、食感が異なる、マグロの奥深さを味わえる。

伝統的なマグロの食べ方なら、ねぎま鍋だ。三浦の郷土料理でもあるねぎま鍋は、まろやかで甘味があるつゆで煮るので、マグロの風味を損なわず、最後まで飽きずに食べられる。三浦海岸駅近くの「さかな料理まつばら」では、マグロや生シラスなどを盛り込んだ「三浦丼」とねぎま鍋をセットで味わえる。

三浦の歴史を知り、街を歩いてみれば、おなじみのマグロの味が、少し変わるかもしれない。

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「紀の代」のおまかせすし

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「くろば亭」で解体されたマグロの部位

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骨髄、皮、卵などのマグロの珍味

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「くろば亭」でのまぐろカブトの解体ショーの様子

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ずらりと大根が干される風景は、三浦海岸の冬の風物詩


海南神社
住所:三浦市三崎4-12−11
TEL:046-881-3038

紀の代
住所:三浦市三崎1-9-12
TEL:046-881-3167
営業:ランチ 11時~15時(L.O.14時30分)、ディナー 17時~21時(L.O.19時)、土・日・祝 11時~20時30分(L.O.19時)
休み:火曜

くろば亭
住所:三浦市三崎1-9-11
TEL:046-882-5637
営業:11時~20時(L.O.19時)
休み:水曜

さかな料理 まつばら
住所:三浦市南下浦町上宮田3253
TEL:046-888-1479
営業:11時30分~23時(L.O.22時30分)
休み:火曜

 三浦市の観光についての問い合わせ

三浦市観光協会
TEL:046-888-0588
ホームページは👉こちら

(Web掲載:2026年1月3日)


Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん

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