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【1万5000円で泊まる名湯の宿】宿探しは楽しい!面白い!

【1万5000円で泊まる名湯の宿】宿探しは楽しい!面白い!

九州には温泉が良く、リーズナブルな宿が多い。写真は長湯温泉大丸旅館「ティの湯」(写真/内田 晃)

 

読者の皆さんは、普段、どうやって宿を選んでいるだろう。筆者自身、友人や親戚に「どこかいい宿教えて」「○○に行くんだけど、いい宿ない?」と聞かれることがよくある。さらに、近年の物価高騰で1万円台の宿選びは難しくなっている。そんな中、「高くていいのは当たり前、安くても魅力ある宿を探そう!」と、旅行読売1月号「1万5000円で泊まる名湯の宿」の特集制作が始まった。

始まりは「1万円」だった

2016年~18年の旅行読売2月号で特集を組んだ「1万円の極上宿」は、税別1万円以下の宿を紹介したヒット企画だ。ここ数年続く物価上昇で交通費や宿泊料が上がり、旅行をためらっている人も多いと聞き、この「1万円の極上宿」をもう一度特集できないか、そんな思いから今回の企画はスタートした。

夏に実施した読者座談会やアンケートの結果から、「旅の目的にもよるが、宿泊料は1万5000円くらいが望ましい」という声が多いことが分かった。さらに、コロナ禍以降の宿泊料の推移などを調べると2万円前後が主流とのデータもある。「1泊2食付き1万5000円ならお値打ちと感じてもらえるだろう」と想定し、税別1万5000円前後で泊まれる極上宿のリサーチを始めた。

ただし、人によって〝極上〟の解釈は異なる。たとえば眺めの良い広々とした客室、高級な調度品、豪華な食事、手厚いサービスなど多岐にわたるが、「旅行読売」ではやはり〝温泉へのこだわり〟を重視することにした。

源泉かけ流し、足元湧出などの新鮮な湯、無料の貸切風呂、多彩な泉質などを基本線とし、これにオーシャンビューなどの絶景、おいしい料理、部屋食などの基準をさらに上積みして「極上宿」を探した。

数多ある温泉宿からどう選ぶ

まずは温泉研究家や温泉宿に詳しいライター、各地の観光・宿泊業関係者への聞き込みのほか、識者によるコラムや資料を参考にするなどして探し始めた。だが、「1泊2食1万5000円前後の極上宿」を探すには、実のところかなり苦労した。旅館・ホテルの専門家、井門(いかど)隆夫さんのコラムにもあるように「この5年間で5000円は値上がり」していたのだ。

宿泊料の高騰を目の当たりにして愕然(がくぜん)としつつも、インターネットも活用して、徹底的に調べてみた(具体的な方法は以下のとおり)。その結果をさらに口コミも参考に、宿への電話確認などを交えて精査した。

旅の楽しみは宿探しから

安くて魅力的な宿を探すコツとしては、皆さんもすでにご承知のとおり週末より平日を選ぶ、まずはスタンダードプランをチェックするというほかに、部屋のグレードを落とす(10畳から8畳にするなど)、食事のグレードを落とす(品数減など)、人気温泉地に近い別の温泉地で探す〝温泉地ずらし〟(熱海でなく網代<あじろ>、城崎<きのさき>でなく湯村など)も効果的だ。

“温泉地ずらし”で見つけた湯村温泉の宿「湧泉の宿 ゆあむ やまの湯」

なお、エリア的に見ると、やはり関東・甲信越や関西などの都市部に近い温泉地では見つけるのが難しかった。狙い目は東北や九州だ。温泉が抜群に良く、リーズナブルな宿がまだまだ多く残っている。

そんな作業が続く中、むくむくと湧き上がってきたのは意外にも「楽しいな」という気持ち。さまざまな宿について知ることができるだけでなく、観光情報やグルメ紹介のページものぞくから、あちこち旅をしている気分になれる。ぜひ読者の皆さんにも、そんな気分を味わってほしい。

その反面、宿の苦労も伝わってきた。宿泊料を抑えながら、心尽くしのもてなしを提供するには、知恵と工夫、そして相当の経営努力が必要なのだろう。すぐにでも出かけて応援したい気持ちになった。

特集最後のページでは、首都圏からの交通費が無料だったり、有名温泉地で1万円ほどで泊まれたりという「番外編」の宿を紹介しているので、ぜひチェックしてほしい。

今回の特集がこの冬の皆さんの温泉宿選びの一助になれば、これに勝る喜びはない。 

文/中 文子


(出典:旅行読売2024年1月号)
(Web掲載:2024年1月22日)


Writer

中 文子 さん

神戸生まれの大阪育ち。学生時代に旅に目覚め、アジア(おもに中国)や国内各地を探訪。旅を仕事にできたら面白そうだ!と旅行読売出版社に入社。広告課、編集部、メディアプロモーション部(広告)を経て、22年4月からメディア編集部所属。現在は、小1の壁と向き合いながら時短勤務中。温泉とお酒、楽器演奏が大好き。

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