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【1万5000円で泊まる名湯の宿】世界屈指の炭酸泉 長湯温泉 大丸旅館(1)

場所
> 竹田市
【1万5000円で泊まる名湯の宿】世界屈指の炭酸泉 長湯温泉 大丸旅館(1)

ラムネ温泉館の露天風呂。浴槽の底から源泉が勢いよく湧き出している

 

銀色の気泡が全身を包み込む〝世界屈指の炭酸泉〟に憩う

九州には個性派の温泉が多い。今回訪ねた大分県南西部の長湯温泉には〝世界屈指の炭酸泉〟があると聞き、出発前からワクワクが止まらなかった。

長湯温泉へのアクセスは決してよいとは言えない。マイカーならば大分駅から1時間ほどの道のり。鉄道の場合は大分駅から豊肥(ほうひ)線で豊後(ぶんご)竹田駅で下車し、さらにバスで40分〜50分ほどかかる。それでも、足を運ぶ価値がある温泉だ。

今宵の宿・大丸旅館は1917年創業の老舗旅館。豊後竹田駅から予約制の送迎がある。この日は社長の首藤(しゅとう)優作さんがハンドルを握り、宿への道中で温泉の歴史などを話してくれた。

大丸旅館は与謝野鉄幹・晶子に愛用され、玄関近くには文学碑が立つ
落ち着いた雰囲気の本館10畳和室
別館は大正ロマン風で、客室は和室と和洋室(写真)がある。1泊2食2万4450円〜(1室2人利用)

元々、長湯温泉は湯之原(ゆのはら)温泉と呼ばれ、戦国期には大友氏の家臣・朽網(くたみ)氏が管理した。江戸期になると岡藩の保養地となり、藩主だけでなく家臣たちも湯治を楽しんだ。現在は芹川を挟んで15軒ほどの温泉宿がそれぞれ自家源泉を所有して〝源泉かけ流し〟を徹底している。

男湯の露天風呂。水面の薄い膜は温泉成分による湯の花で“天然温泉の証し”だ
ミドリの湯から芹川(せりかわ)を望む。早朝には野鳥の姿が見られることもある

源泉の泉質は2種あり、ほとんどは昭和期以降に掘削されたマグネシウム・ナトリウム―炭酸水素塩泉だ。もう一つは含二酸化炭素―マグネシウム・ナトリウム・カルシウム―炭酸水素塩泉で、こちらは日帰り温泉の「大丸旅館外湯 ラムネ温泉館」に注がれている。

「ラムネ温泉館の源泉は1リットルあたりの炭酸ガス含有量が1380ppmもあり、世界屈指の高濃度です。泉温32度のぬる湯も特徴で、この泉温よりも高いと炭酸ガスは抜けてしまい、低いと入浴するのがつらくなります。炭酸ガスの高濃度と最適の泉温がそろった奇跡の温泉です」と首藤さん。ラムネ温泉館の源泉は忘れられた存在だったものを首藤さんの父、先代社長が権利を取得し、復活させたそうだ。

ラムネ温泉館の外壁には焼き杉板と漆喰を使用

宿に到着後、早速、そのラムネ温泉館へ。目当ての湯は無色透明で、露天風呂と家族風呂に注がれている。「冷たいかな〜」と恐る恐る露天風呂に足をつけるが、思ったほど冷たくない。体を沈めてしばらくすると、全身は気泡だらけに。腕を湯から出すとパチパチと弾けた。この炭酸ガスは体内に取り込まれると血行を促進し、血圧を下げる効果も期待できるという。実に愉快な温泉だ。

文・写真/内田 晃

【1万5000円で泊まる名湯の宿】世界屈指の炭酸泉 長湯温泉 大丸旅館(2)へ続く(1/5公開予定)

大丸旅館外湯 ラムネ温泉館

銀色の気泡が全身に付着する希少な温泉を体感できる日帰り温泉施設。建築家・藤森照信氏が設計したメルヘンチックな建物も必見だ。露天風呂のほか、内湯、サウナ、家族風呂もあり、大丸旅館の宿泊者は無料(家族風呂は1000円)で利用できる。
■10時〜22時/500円/第1水曜(1・5月は第2水曜)休/豊後竹田駅からバス40分、山脇下車すぐ/TEL0974-75-2620


大丸旅館
TEL:0974-75-2002
住所:竹田市直入町長湯7992-1 
客室:トイレあり10畳和室など全15室
温泉:本館・別館・ラムネ温泉館:マグネシウム・ナトリウム―炭酸水素塩泉、ラムネ温泉館:含二酸化炭素―マグネシウム・ナトリウム・カルシウム―炭酸水素塩泉
食事:夕食=個室食事処、朝食=食事処
料金(2人1室利用・税込み):朝食付き平日1万3350円 休前日1万4450円/2食付き平日1万6650円~ 休前日1万7750円~
※露天風呂・貸切風呂あり、掛け流し
※ひとり泊可(平日で空室があれば、+5500円)
交通:豊肥線豊後竹田駅から送迎40分(要予約)/大野竹田道路竹田ICから14キロ

※料金等すべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年1月号)
(Web掲載:2024年1月4日)

☛読売旅行で行く「大丸旅館」のプランは こちら


Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員

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