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【1万5000円で泊まる名湯の宿】世界屈指の炭酸泉 長湯温泉 大丸旅館(2)

場所
> 竹田市
【1万5000円で泊まる名湯の宿】世界屈指の炭酸泉 長湯温泉 大丸旅館(2)

別館の家族風呂「ミドリの湯」。茶室風のくぐり戸を過ぎるとこの風景が待つ

 

目も舌も満足させる秀逸な料理

【1万5000円で泊まる名湯の宿】世界屈指の炭酸泉 長湯温泉 大丸旅館(1)から続く

旅館に戻り、ひと休みしたら館内を巡ってみる。建物は本館と別館があり、玄関や客室には女将の千恵子さんが生けた草花が飾られている。別館の談話室や廊下には長湯温泉にゆかりのある画家・高田力蔵や彫刻家・朝倉文夫の作品、川端康成ら作家の手紙・原稿などが展示されている。文人や芸術家にも愛されてきたようだ。

女将の手による本館玄関の生け花
談話室に飾られた川端康成の手紙には画家・高田力蔵の絵画に誘われて長湯温泉を訪ねたとある
日帰り入浴の利用者も休憩できる別館の談話室

風呂は大浴場と露天風呂が男女1か所ずつ、家族風呂が3か所ある。いずれの風呂も毎朝、完全に湯を抜き、清掃後に新たな湯を入れるので、鮮度は申し分ない。夜通し湯あみができるのもうれしい。こちらは茶褐色の濁り湯で、飲泉もできる。

本館の家族風呂。温泉は飲泉可能で、適応症は慢性消化器病、糖尿病、痛風など

温泉に加えて、山の温泉宿らしい食事も好評だ。夕食は個室の食事処で1品ずつ提供される。表面を焼いて香りを際立たせた焼き黒ごま豆腐、季節感を大切にした前菜7種盛り合わせ、二度揚げすることでカリッと頭から食べられるエノハ(ヤマメ)の姿揚げなど、この宿泊料金で大丈夫?と心配になるほどの充実した内容だった。

夕食の献立は季節ごとに大きく替わる。器には地元の竹田焼が使われている
朝食では温泉粥(がゆ)を提供。飲泉ではクセの強い温泉も粥に使うとまろかやな味になる

夕食後、もう一度ラムネ温泉館へ向かった。夜は常連が多く、よもやま話で盛り上がっていた。皆さん何ともよい表情だ。個性的な温泉はもちろん、温泉を愛する地元の方々と触れ合えることも、九州の温泉を巡る醍醐味(だいごみ)かもしれない。

文・写真/内田 晃

ぶらり外湯歩き

ガニ湯
芹川の河原に湧く共同浴場。脱衣所も囲いもないが、水着でも入浴できる。村の娘に恋したカニ(蟹)が雷に打たれて死に、その形をした大岩から温泉が湧いたとの伝説からその名が付いた。
■24時間利用可能/無料/無休/豊後竹田駅からバス40分、山脇下車徒歩5分/TEL:0974-75-3111(長湯温泉観光案内所)


大丸旅館
TEL:0974-75-2002
住所:竹田市直入町長湯7992-1 
客室:トイレあり10畳和室など全15室
温泉:本館・別館・ラムネ温泉館:マグネシウム・ナトリウム―炭酸水素塩泉、ラムネ温泉館:含二酸化炭素―マグネシウム・ナトリウム・カルシウム―炭酸水素塩泉
食事:夕食=個室食事処、朝食=食事処
料金(2人1室利用・税込み):朝食付き平日1万3350円 休前日1万4450円/2食付き平日1万6650円~ 休前日1万7750円~
※露天風呂・貸切風呂あり、掛け流し
※ひとり泊可(平日で空室があれば、+5500円)
交通:豊肥線豊後竹田駅から送迎40分(要予約)/大野竹田道路竹田ICから14キロ

※料金等すべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年1月号)
(Web掲載:2024年1月5日)

☛読売旅行で行く「大丸旅館」のプランは こちら


Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員

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