たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【岩佐十良さんが選ぶ 私の極上温泉】浅間温泉 富士乃湯(1)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 松本市
【岩佐十良さんが選ぶ 私の極上温泉】浅間温泉 富士乃湯(1)

冨士乃湯大浴場「芙蓉」。浴槽の周囲はガラス張りで、浴場から木々を配した庭園が見渡せる

 

いわさ とおる
「自遊人」代表取締役。1967年、東京都生まれ。クリエイティブディレクター。「里山十帖」(新潟)、「松本十帖」(長野)を開業するなど、温泉宿の経営や再生事業にも携わる。著書は『里山を創生する「デザイン的思考」』(KADOKAWA)、『新潟美食手帖』(新潟日報事業社)ほか

 

松本の奥座敷 家族でもてなす創業200年の小さな宿

松本駅からタクシーで15分ほど。富士乃湯は、松本の奥座敷といわれる浅間温泉の一角にある静かな湯宿である。創業は1832年。玄関のたたずまいも館内の調度にも古き良き宿の風格を感じる。浅間温泉は豊富な湯量を誇り、江戸時代には松本城主も通ったとされる歴史ある温泉。

まずは、ゆったりかけ流しの温泉につかりたいと、大浴場に向かった。富士乃湯には大小二つの内湯があり、時間により男女入れ替え制になっている。露天風呂はないが、浴槽の周囲はガラス張りで、木々を配した庭園が見渡せる。午後の光が斜めに差し込む湯殿、無色透明の湯に沈み、なんともいい気分だ。畳敷きの貸切風呂には入り口に札がかけてあり、「空き」となっていればいつでも入れる。大浴場、貸切風呂ともに、混雑状況を3段階に分け、スマートフォンなどを使って2次元コードで確認できるので便利だ。

大小二つの大浴場の小さいほうの内湯「夕映え」時間により男女入れ替え制になっている
昭和初期のレトロなタイルと畳の無料貸切風呂「富士」。入り口の札が「空き」となっていればいつでも入れる

風呂上がりに宿の周辺を歩いてみた。山々に囲まれたのどかな街並みが広がり、古い木造の家々、信州ならではの道祖神が点在していた。地元の人たちが共同で権利を持ち、管理する共同湯もある。旅行客は入れないので、ざあざあと湯が流れる音だけを聞く。湯の街の湯の音を聞く夕涼みだった。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江

 

【私の極上温泉】岩佐十良さん 浅間温泉 冨士乃湯(2)へ続く

 

山々に囲まれたのどかな街並み、蔵造りの建物が、浅間温泉の歴史と風情を伝える
飲泉所。赤いポストとのコントラストがいい
湯の街通り。小さな宿が並び、立ち寄り湯もある

浅間温泉 立ち寄りたい店

かつては銀行として使われていた「手紙舎 文箱」店内には壁一面にオリジナルポストカードを展示
東京などにも店舗を持つ手紙舎の名物「プリンアラモード」(900円~)は絶品だ

手紙舎 文箱

ポストカードやメモ帳、ポチ袋、一筆箋、オリジナルペーパーなど、紙ものを中心とした雑貨を販売している。かつては銀行として使われており、現存する「金庫室」には古書と古道具が並ぶ。1階にはカフェを併設。季節の果物が載った名物の「プリンアラモード」(900円〜)は絶品だ。

■10時~16時30分(カフェは~16時)/祝日を除く火・水曜休、年末年始休/篠ノ井線松本駅からバス30分、ホットプラザ浅間前下車すぐ/TEL:0263-87-2716

※掲載時のデータです。


富士乃湯

住所:長野県松本市浅間温泉3-13-5
TEL::0263-46-1516

料金:1泊2食平日1万9950円~、休前日2万2150円〜
客室:全8室
食事:夕食・朝食=部屋
泉質:アルカリ性単純温泉
貸切:貸切風呂「富士」(無料)
交通:篠ノ井線松本駅からバス25分、浅間温泉下車徒歩5分/長野道松本ICから13キロ

※掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2022年12月号)
(Web掲載:2023年7月27日)

☛浅間温泉、長野県など関東・甲信エリアへのツアーはこちら

 


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています