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【久住昌之さんが選ぶ 私の極上温泉】有馬温泉 ホテル花小宿(1)

場所
> 神戸市
【久住昌之さんが選ぶ 私の極上温泉】有馬温泉 ホテル花小宿(1)

料理長の松岡兼司さんの料理に魅せられて毎月宿泊する常連客もいるそう

 

くすみ まさゆき

1958年、東京・三鷹生まれ。美學校・絵文字工房で赤瀬川原平に師事。1981年、泉晴紀と組んで「泉昌之」名でマンガ家デビュー。谷口ジローと組んで描いたマンガ『孤独のグルメ』は2012年にテレビドラマ化され、2022年10月からSeason10が放映中。エッセーは『東京都三多摩原人』(朝日新聞出版)ほか多数

 

全9室の小さな宿で有馬の名湯を貸し切り利用

六甲山地北側に湧く有馬温泉は、日本三古湯の一つに数えられ、豊臣秀吉が愛した歴史ある名湯。温泉街は気軽に泊まれる宿やしゃれた土産店、飲食店も増え、コロナ禍前のにぎわいを取り戻しつつある。

ホテル花小宿は、そんな温泉街の中心に立つ。客室は木造2階の建物に9室のみ。宿名の通りまさに「小宿」である。では「花」は何? そんな問いを自分に投げかけ、浮き立つ気分を抑えながら玄関に入った。

「花小宿」は有馬温泉で800年以上の歴史を誇る「陶泉 御所坊(とうせん ごしょぼう)」の姉妹宿

外国人専用ホテルをイメージしたレトロモダンな雰囲気

スタッフによると、館内は神戸港開港期に有馬に立ち並んだ外国人専用ホテルをイメージしているそう。建物は純和風ながら、ステンドグラスや照明、ソファなどがレトロモダンで落ち着いた雰囲気を醸す。宿泊は中学生以上に限定した「大人の宿」でもある。

1階は畳の部屋にベッドを置いた和風ツイン、2階には洋風ツインとスイートがあり、今回宿泊した洋風ツインは、飴あ め色の「金茶ガラス」を通してセピア色の光が差し込む。テレビは液晶画面だが、箱型に工夫し、チャンネルをダイヤル式に変えて昔風に加工するなど、遊び心も感じられる。

畳の感 触が足裏に優しい和風ツインA

「金泉」「白湯」、2色の温泉をのんびり楽しむ

ひと休みしてから、早速浴場へ。1階に自由に入れる貸切内湯が2か所あり、宿泊客同士が譲り合って利用する。どちらも茶褐色の「金泉」と無色透明の「白湯」の浴槽があり、「金泉」は宿のすぐ裏で湧く御所泉源と近くの妬(うわなり)泉源を混合して適温に冷ましてからかけ流している。「金泉」は軟らかな肌触りで、体の芯まで温まった。

車イスでも利用できる貸切温泉の蔦葉子(ツタバス)。戦後すぐからあるというタイル絵も魅力

入浴後は、この宿を推薦してくれたマンガ家・ミュージシャンの久住昌之さんを真似ねて、夕食の時間まで温泉街を散策。土産店をのぞき、泉源を巡った。

文/児島奈美 写真/宮川 透

 

【私の極上温泉】久住昌之 ホテル花小宿(2)へ続く


ホテル花小宿

住所:兵庫県神戸市北区有馬町1007
℡:078-904-0281

料金:1泊2食平日2万5950円~、休前日3万50円~(1人1室は3万9350円~)※掲載時の料金
客室:9室
食事:夕食・朝食=食事処
泉質:含鉄-ナトリウム-塩化物泉
貸切:貸切内湯2
交通:神戸電鉄有馬線有馬温泉駅から徒歩7分/阪神高速7号北神戸線西宮山口南出入口から3キロ

 

(出典:「旅行読売」2022年11月号)

(Web掲載:2023年1月26日)

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Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

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