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【1万5000円で泊まる名湯の宿】鳴子温泉 元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館(2)

場所
> 大崎市
【1万5000円で泊まる名湯の宿】鳴子温泉 元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館(2)

貸切露天風呂の「茜の湯」。鳴子の自然とかけ流しの湯を満喫できる

 

3種の異なる泉質を堪能

【1万5000円で泊まる名湯の宿】鳴子温泉 元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館(1)から続く

一息ついたら自慢の温泉を楽しもう。無料の貸切露天風呂「茜(あかね)の湯」は、チェックインの際に1組30分の予約ができる。宿の向かいの愛宕(あたご)山の坂を上っていくと蔵の向こうに湯小屋が見えてきた。露天風呂は木々に囲まれ、街中とは思えない静けさ。四季折々の景色を楽しみながら、人の目を気にせず湯につかれるのが何よりのぜいたくだ。「冬場も除雪しているので、雪見風呂を楽しみにされて来る方も多いですよ」と遊佐さん。肌触り滑らかなアルカリ泉は、最初の湯あみに最適だという。

次に入るならとおすすめされたのは、共同浴場の「滝の湯」。宿泊者は無料で入ることができる。遊佐家は1632年に伊達家から「滝の湯」の湯守を拝命したという記録が残っている。青森ヒバで造られた浴槽に豪快に注がれる源泉はサラサラで熱め。酸性の硫黄泉で、殺菌作用や美白効果が期待できる。

共同浴場「滝の湯」(写真/宮城県観光プロモーショ ン推進室)
「滝の湯」は鳴子温泉神社の御神湯として、地元の人から旅行者まで広く親しまれている

仕上げは内湯の「うなぎ湯」へ。酸性の「滝の湯」のすぐ隣にあるのに、アルカリ性というのが泉質の豊富な鳴子ならではだろう。江戸時代の中頃、客の要望に応じて宿が建てられ、自家源泉を掘ったところ、全く異なる性質の源泉が出たのだそう。まるで美容液のようなぬるぬるした湯にしばらくつかっていると、肌がツルツルになり驚いた。

内湯の「うなぎ湯」は、時間によって男女別の浴室が入れ替わる。湯の色や濁り具合が天候や気温によって大きく変化する

地元の旬の幸がふんだんに盛り込まれた月替わりの山里料理の夕食も楽しみだ。「お値段を抑えたプランが提供できるのは、板前が仕入れも担当し、地のものを集めて作っているからです」と遊佐さん。

四季を通じて宮城の食の豊かさを感じさせる夕食。メインの料理を選べるのもうれしい(写真/元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館)

メインの料理は予約の際に4種ほどから一品選べる。仙台黒毛和牛のしゃぶしゃぶ、合鴨の山菜味噌焚(みそた)き鍋、白身魚の豆乳鍋の定番に加え、12月〜3月は「宮城のせり鍋」も登場する予定だ。契約農家から直接仕入れる減農薬特別栽培米の「つや姫」は、夕食では季節の炊き込みご飯、朝食では白米でいただける。個性豊かな温泉と心づくしの食事で身も心もほっこり温まる宿だった。

文/堀内志保
写真/堀内 孝


元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館

TEL:0229-83-2565
住所:大崎市鳴子温泉湯元84
客室:トイレなし8畳和室など全12室
温泉:うなぎ湯/含硫黄―ナトリウム―硫酸塩・塩化物泉―低張性弱アルカリ性高温泉、茜の湯/含硫黄―ナトリウム―硫酸塩泉―低張性アルカリ性高温泉、滝の湯/酸性−含硫黄―ナトリウム・アルミニウム・カルシウム・鉄(Ⅱ)―硫酸塩泉(硫化水素型)―低張性酸性高温泉
食事:夕・朝食=部屋
料金(2人1室利用・税込み):朝食付き平日 ― 休前日 ― /2食付き平日1万7250円~ 休前日1万8950円~
※露天風呂・貸切風呂あり、掛け流し、部屋食
※ひとり泊可(期間限定で平日のみ、+2300円)
交通:陸羽東線鳴子温泉駅から徒歩5分/東北道古川ICから29キロ

※料金等すべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年1月号)
(Web掲載:2024年1月24日)


Writer

堀内志保 さん

埼玉県生まれ。1999年から2年あまり社会人類学の調査でアフリカ大陸の沖に浮かぶマダガスカル島に滞在。『マダガスカルを知るための62章』(明石書店)では、市場と割礼祭の章を担当した。2003年から宮城県に住み、写真家の夫とともに東北各地の自然や歴史、食、温泉、手仕事などに触れ、新聞や雑誌に記事やエッセイを発表している。

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