【新・日本の絶景】故郷に笑顔と未来をつくる「世界一美しいコンビニ」(1)
「未来コンビニ」のロゴデザインは未来へと続く光の輝きをモチーフにしている(ⒸKITO DESIGN HOLDINGS)
国内外の賞を11冠も獲得した先進的なデザイン
清流・那賀川が美しい徳島県西部の山あいに位置する那賀町木頭(きとう)地区に、世界から注目される新絶景が生まれた。開放的なガラス張りの外観に、特産の木頭柚子(ゆず)の畑と実を表現した黄色い柱。「世界一美しい」と謳(うた)う未来コンビニだ。
世界三大デザイン賞の「Red Dot Design Award(レッド・ドット・デザイン・アワード)」をはじめ、国内外の建築・デザインに関する賞を11冠も獲得。評価されたのは、未来感あふれる店のデザインだけではない。
「豊かな自然や、香り高く酸味が強い日本一の品質を誇る柚子。この地にあるものと共生し、暮らす人も訪れる人も笑顔になり、持続可能なビジネスと地域をつくる。ハコモノだけでなく、地方創生の取り組みが世界に認められました」
そう語るのは、運営会社「KITO DESIGN HOLDINGS(キトウ・デザイン・ホールディングス、KDH)の宮脇貴之さん。木頭地区は人口1000人弱で、65歳以上が6割強の限界集落だ。買い物は最寄りのスーパーまで車で1時間以上かかり、バスは1日5便だけ。不便な生活弱者の暮らしを変えたいと、木頭出身の実業家・藤田恭嗣(やすし) さんが故郷の創生に向け、2017年にKDHを設立。20年に未来コンビニを開業した。
生活を便利にするコンビニだけではなく、木頭柚子の栽培・収穫・加工商品開発も支援。農業・製造業・小売業を一体的に推進する「6次産業化」のビジネスとして、住民が働く職場を増やしつつ、観光や移住で外から人を呼び込む仕組みを作る。現在進行形で続く挑戦が、「世界一の美しさ」に磨きをかけている。
文/清水章弘 写真/泉田道夫ほか
【新・日本の絶景】故郷に笑顔と未来をつくる「世界一美しいコンビニ」(2)へ続く(2/5公開予定)
未来コンビニ
ベストシーズン:10月末~11月末
営業時間:11時~17時30分/水曜休
交通:牟岐線桑野駅からバス2時間30分、六地蔵下車すぐ/徳島南部道徳島津田ICから国道195号経由105㌔
TEL:0884・69・2620
※料金などはすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年2月号)
(Web掲載:2024年2月4日)