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【新・日本の絶景】太平洋の白波とのコントラスト 空を映す静かなる潟湖 松川浦(1)

場所
> 相馬市
【新・日本の絶景】太平洋の白波とのコントラスト 空を映す静かなる潟湖 松川浦(1)

鵜ノ尾埼灯台の下の鵜ノ尾岬トンネルを抜けると、かさ上げされた道路の左に太平洋、右に松川浦の絶景(写真/ピクスタ)

 

相馬中村藩主の行楽地だった福島県唯一の潟湖

はじめに、潟湖(せきこ)とは川の河口部の入り江が砂州によりせき止められ、外海から隔てられてできた湖のことで、サロマ湖や浜名湖などを代表例に穏やかで景観に優れた所が多い。福島県唯一の潟湖である松川浦もまた長い歴史を持つ景勝地だ。南北の長さ約7キロ、東西の最大幅1.5キロの汽水湖は古くは万葉集に詠われ、江戸時代には当地を治めた相馬中村藩主の行楽地となり、第5代藩主相馬昌胤(まさたね)は新名所「松川十二景」の公認を東山天皇に願い出たと伝わる。

その絶景を見ようと、福島県の沿岸部、宮城県境に接する相馬市を目指した。仙台から車で約1時間の常磐道相馬ICを降り、しばらく東へ走ると、この日の曇り空を映す湖面が現れた。カタカナの「フ」の字形をした湖の北岸は旅館や民宿、食事処が点在し、相馬復興市民市場「浜の駅 松川浦」、伝承鎮魂祈念館など立ち寄りたい施設もある。

お食事処たこ八

この地のシンボルの一つである松川浦大橋を渡り、鵜ノ尾埼(うのおさき)灯台が立つ岬のトンネルを抜けると、目の前のパノラマに思わず歓声を上げた。右に松川浦の静かな湖面、左に白波が立つ海岸と水平線が広がり、その真ん中をまっすぐに進む爽快なドライブルートだ。道は湖を形作った細長い砂州の上にある。目前の海岸線は微かに曲線を描きながら南相馬、その先のいわきの方へ続いている。

震災後17年に再開通した松川浦大橋は、夜はライトアップされる(写真/ピクスタ)
灯台北側のカゲスカ海岸から見る鵜ノ尾埼灯台。2022年の福島県沖地震の影響により、現在は立ち入り禁止

外海の影響を受けない松川浦は、無風の時はほとんど波がなく、湖面に空の色を映して美しい。晴天なら青く、曇天なら灰色に、朝焼けや夕焼けの色も同様だ。小島が点在する風景を日本三景になぞらえ「小松島」とも呼ばれる。冬は2018年に出荷を再開したアオサ(ヒトエグサ)が収穫期を迎え、点々と浮かぶノリ棚と杭に、ちぎれ雲がかかる背後の低い山並みが相まって、日本画のような風情があった。灯台下の展望台や、桟橋からも間近に眺められる。

アオサ養殖の船と桟橋(写真/ピクスタ)
桟橋は、トンネルの南側の駐車場に車を止めて突端まで歩こう
波がない日、湖は鏡のように空を映す(写真/相馬市観光協会)

お食事処たこ八

仲買人の3代目代表が近くの相馬原釜港で仕入れた鮮魚を、定食や丼に調理して提供。人気の松川浦ご膳2090円は、名物のホッキ飯のほか、アオサの天ぷら、旬の魚の刺し身(ヒラメ、タコなど)に、アサリのみそ汁が付く。海鮮丼や天丼、シーフードカレーなども。海鮮市場が隣接。近くの「おいかわ食堂」のあさりバターラーメンもおすすめ。
■11時~14 時30分/不定休/常磐線相馬駅から徒歩3分の相馬営業所でバスに乗り換え13分、高塚下車徒歩2分/TEL:0244-38-8808

文/福﨑圭介 写真/三浦健太郎ほか

【新・日本の絶景】太平洋の白波とのコントラスト 空を映す静かなる潟湖 松川浦(2)へ続く(2/14公開予定)


松川浦

ベストシーズン:通年(ハイシーズンは夏)
営業:見学自由
交通:常磐線相馬駅から徒歩3分の相馬営業所でバスに乗り換え16分、松川浦下車/常磐道相馬ICから国道115号、県道38号経由10キロ
問い合わせ:TEL0244-35-3300(相馬市観光協会

※料金などは掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年2月号)
(Web掲載:2024年2月13日)


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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