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【新・日本の絶景】太平洋の白波とのコントラスト 空を映す静かなる潟湖 松川浦(2)

場所
> 相馬市
【新・日本の絶景】太平洋の白波とのコントラスト 空を映す静かなる潟湖 松川浦(2)

アオサ養殖の船が発着する岩子漁港の先、岩子地区から見る文字島、沖賀島と朝日。近くに宿もある(写真/相馬市観光協会)

 

震災で変わったもの変わらないもの

【新・日本の絶景】太平洋の白波とのコントラスト 空を映す静かなる潟湖 松川浦(1)から続く

車を走らせていると、道の両側に若い松が植林されているのに気付く。「日本の白砂青松100選」に選定された地の松が小さいのは、東日本大震災の津波で流されたからだ。昔の写真を見ると、11年を境に松川浦の風景の一部は変わっている。初夏の風物詩だった潮干狩りはその前年以来、行われていない。

「津波は堤防を越え、人家のある所まで来ました。松川浦沿岸は比較的被害が小さかったのですが、外海に面した集落の被害は甚大でした」と相馬市観光協会の遠藤美貴子さん。さらに昨年、一昨年の福島県沖地震が追い打ちをかけた。建物が被災して営業をやめる宿もあったという。

相馬市伝承鎮魂祈念館 写真/相馬市観光協会
東日本大震災の津波により被災した地区の震災前の風景を後世に伝え、残された遺族の心のよりどころとなることを目的に建てられた相馬市伝承鎮魂祈念館。ここで語り部の五十嵐ひで子さんに、津波にのまれながらも生還した壮絶な体験を聞いた。五十嵐さんの貴重な話は現在、復興視察や講演会で聞ける

それでも震災から13年がたとうとしており、その間に特産のアオサの出荷や海水浴場の再開、祭りの相馬野馬追(のまおい)の復活、浜の駅の完成など状況は少しずつ前進している。この日泊まった宿の4代目主人は震災時、高校生だったそうだ。卒業後、仙台で調理修業をして地元に戻り後を継いだ。今はほかの旅館の仲間たちとともに「浜焼き」など宿泊客向けの企画を考えているという。

松川浦ガイドの会(旅館の若旦那ら)が宿泊者向けの体験アクティビティーを企画している。炭火で鮮魚を焼く「浜焼き」体験、海岸でコーヒーを飲みながら海面に映る月の道を見る「ムーンロード・カフェ」など(写真/相馬市観光協会)

10年で海山が織りなす自然の風景は大きく変わらないが、人間の営為が生み出すものは変わっていく。その組み合わせ、移り変わりもまた、忘れがたい風景を生み出すのだろう。

文/福﨑圭介 写真/三浦健太郎ほか

 

浜の駅 松川浦(相馬復興市民市場)

震災前は東北有数の良港としてにぎわった松川浦漁港の風評払拭や復興のシンボルとして、また新たな観光拠点として2020年にオープン。水産物、農産物、地域商品のコーナーに分かれ、食事処を併設している。アオサの佃煮や鮮魚など土産も充実。
■9時~17時(4月~9月は~18時)/1月1・2日休/相馬駅から徒歩3分の相馬営業所でバスに乗り換え18分、浜の駅松川浦下車すぐ/TEL:0244-32-1585

 


松川浦

ベストシーズン:通年(ハイシーズンは夏)
営業:見学自由
交通:常磐線相馬駅から徒歩3分の相馬営業所でバスに乗り換え16分、松川浦下車/常磐道相馬ICから国道115号、県道38号経由10キロ
問い合わせ:TEL0244-35-3300(相馬市観光協会

※料金などは掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年2月号)
(Web掲載:2024年2月14日)


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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