【鉄道ひとり旅】ローカル線でたどる武蔵野うどんと秩父そばの名店(2)八高線~秩父鉄道
上長瀞—親鼻駅間の秩父鉄道荒川橋梁を渡る列車。車窓からは荒川を見下ろし、11月中旬が見頃の紅葉を眺められる(写真/ピクスタ)
ノスタルジックな駅舎と秩父山系の山々
【鉄道ひとり旅】ローカル線でたどる武蔵野うどんと秩父そばの名店(1)八高線~秩父鉄道から続く
八高線で寄居(よりい)駅まで北上し、埼玉の羽生(はにゅう)から熊谷、奥秩父の三峰口(みつみねぐち)を結ぶ秩父鉄道に乗り換える。ローカルな味わいのある古い駅が多い路線だ。車窓に波久礼(はぐれ)、樋口、野上とノスタルジックな駅舎が続き、遠く秩父山系の山々が見える。東京近郊なのに十分、旅愁を感じられる。
沿線を代表する景勝地、長瀞(ながとろ)渓谷に近い長瀞駅で下車。隆起した岩が織りなす天然記念物の岩畳を通って、隣の上長瀞駅まで30分ほど歩いた。11月には、対岸の絶壁や岩畳の木々が鮮やかに色付く絶景が広がる。上長瀞駅で再び秩父鉄道に乗ると、すぐに渡る荒川橋梁(きょうりょう)の上から、渓谷と川下りの和船を眺めた。
山あいの秩父地方はそばの産地で、専門店も多い。その秩父そばを味わうため秩父駅で降り、「本格手打わへいそば」へ向かった。「セットの料理を含めうちのそばです」と語る店主の黒沢学さんは、各種の創作料理コンテストの受賞歴を持つ料理人だ。6~7割の挽(ひ)きぐるみそば粉を手打ちしたそばをすすると、豊かな風味と香りが鼻腔をくすぐる。摺(す)ったクルミをつゆに混ぜたくるみ汁が、そばの味を引き立てる。
12月3日の例祭「秩父夜祭」で有名な秩父神社が近く、時間があれば詣でたい。
帰りは西武秩父駅から話題の特急ラビューに乗ろう。その前に駅併設の日帰り温泉「西武秩父駅前温泉祭の湯」の売店で土産を探してもいいし、電車を遅らせてひと風呂浴びて帰るのもいい。気ままに行動を決められるのもひとり旅ならではだ。
文/田辺英彦 写真/阪口 克ほか
本格手打わへいそば<秩父駅>
落ち着いた古民家風の店舗で、テーブル席や座敷席が計28席。メニューはAセット(天ざるセット)2970円〜Cセット5170円の3種のみ。いずれもせいろ(そばまたはうどん)に天ぷらなどの料理を2品〜4品選べるスタイル。そばつゆをくるみ汁に変えると+110円。そばはコシが強く、豊かな風味が特徴。
■11時〜17時(売り切れ次第終了)/木曜休/秩父鉄道秩父駅から徒歩15分/TEL0494-24-9280
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2024年11月号)
(Web掲載:2025年1月26日)