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【鉄道ひとり旅】初めての鉄道ひとり旅Q&A

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【鉄道ひとり旅】初めての鉄道ひとり旅Q&A

JR山陰本線惣郷川橋梁(そうごうがわきょうりょう)

 

自分のペースで旅を楽しめるのがひとり旅の魅力。しかし、最初は戸惑うことが多いかもしれない。スムーズに鉄道ひとり旅に出発できるよう、最近のきっぷ事情や列車などについて解説しよう。

Q:鉄道ひとり旅のメリットは?

家族や友人との旅行も楽しいが、ひとり旅ならではの良さもある。何より「自分のペースで旅を楽しめる」という利点があり、移動手段、食事、宿泊地など、思いのままにスケジュールを立てられる。気が向いた駅で途中下車するなど、急な予定変更も誰かに気兼ねする必要はない。海、山、渓谷と変化に富んだ日本の鉄道車窓は素晴らしく、話し相手のいないひとり旅だからこそ、じっくりと絶景を堪能できる。旅先の人々や他の旅行者との交流が増えることも楽しみ。新たな出会いや異文化体験は、静かに自分と向き合い、視野を広げる機会にもなる。

飯田線の秘境駅・小和田(こわだ)駅

Q:きっぷの買い方は?

原則として目的地までの乗車券と、特急に乗る場合は別に特急券が必要(京急など特急券が不要の私鉄もある)。最近はJRのみどりの窓口が減っており、開いていても混雑して購入に時間がかかることも多い。そのため、なるべく指定席券売機か、ネット予約を利用したい。JR東日本の「えきねっと」なら、全国の新幹線・在来線の特急券などをWeb上で予約・購入でき、指定席の選択もできる。スマホやICカードを使って乗車できるチケットレスサービスも提供。「新幹線eチケット」(トクだ値)など、最大30%オフで買える割引きっぷもある。

JRの乗車券は、工夫すれば安く買えるケースもある。片道601キロ以上は、往復乗車券を購入すると1割引になる。東京―神戸駅間(589.5キロ)を往復する場合、神戸の先の明石(608.9キロ)までの往復乗車券を買えば、割引が適用され、神戸往復の乗車券より1300円安くなる。

また運賃は遠距離ほどキロ当たりの料金が割安になる。東京―福井駅間は北陸新幹線、東海道新幹線のどちらを経由してもさほど距離は変わらないが、東京→長野→福井→米原→東京という「ひと筆書き」の乗車券を買えば、運賃は単純往復より約4000円安くなる。

Q:ひとり旅におすすめの列車は?

全国各地に様々な観光列車が走っているが、最近は単独のリクライニングシートや、窓を向いたカウンター席など、ひとり旅を想定したシートも多く見られるようになった。カウンター席は、あいの風とやま鉄道の「一万三千尺物語」(富山―泊)、JR西日本の「あめつち」(鳥取―出雲市など)、JR四国の「伊予灘ものがたり」(松山―伊予大洲・八幡浜)などに設置。事前に予約すれば、車内で食事が提供される列車も多い。移りゆく車窓風景を眺めながら、駅弁や沿線の料理を味わうのは至福の時間といえる。

また定期運行としては唯一の夜行列車である「サンライズ瀬戸・出雲」は、1人用個室が座席の多くを占めている。個室内のライトを消すと、都会のネオンや集落の明かりが窓を流れ、山間部では星空も見られる。食事や晩酌をするのも自由。ひとり旅にうってつけの列車で、非日常の贅沢(ぜいたく)な移動空間を堪能できる。

あいの風とやま鉄道「一万三千尺物語」のカウンター席
JR西日本の観光列車「あめつち」のカウンター席
駅弁ファンに人気の根室線厚岸(あっけし)駅のかきめし弁当

おすすめのフリーきっぷは?

●秋の乗り放題パス(JR全線/7850円)

格安きっぷの代表格ともいえる「青春18きっぷ」は、発売が春・夏・冬のみで、秋は利用できない。しかし例年、その代わりともいえる「秋の乗り放題パス」が発売されている。10月上旬は比較的気候もよく、学生の長期休みとも重ならない旅のベストシーズンでもある。

発売期間は9月13日~10月18日で、利用期間は10月5日~10月20日。有効期間は3日間。「18きっぷ」と異なるのは、利用できる日が「連続する3日間」であり、飛び飛びの日には利用できない点だ。その他の使い方は「18きっぷ」とほぼ同じで、JR線の普通・快速列車に乗り放題。別にグリーン券を買えばグリーン車(自由席)にも乗れる。

●週末パス(JR東日本/8880円)

主に宮城・山形県以南(酒田、湯沢、くりこま高原駅以南)のJR東日本線と、会津鉄道など14の私鉄の普通・快速列車の普通車自由席が、連続する土・日曜(または祝日)の2日間乗り放題になる。別に特急券を買えば特急や新幹線を利用できる(東海道新幹線は利用不可)。購入は利用開始日の前日まで。単純往復の場合、東京―新潟駅間なら2560円、東京―仙台駅間なら3220円のお得になる。観光列車の乗り継ぎ旅にも利用しやすい。

土・日曜(または祝日)の2日間乗り放題となる週末パス

●サンキュー♥ちばフリーパス(JR東日本など/3970円)

千葉県内のJR線および、小湊鐵道など私鉄8社の鉄道路線が連続2日間乗り放題。一部のバスや東京湾フェリー(久里浜―金谷)も利用できる。都区内各駅からフリーエリア内までのJR線往復乗車券がセットになった「サンキュー♥ちばフリー乗車券(4790円)」もある。利用期間は9月1日〜10月31日、25年1月4日〜2月28日。

●休日おでかけパス(JR東日本/2720円)

東京近郊のJR東日本線の普通・快速列車の普通車自由席、東京臨海高速鉄道線(りんかい線)、東京モノレール全線が乗り放題。別に券を買えば、特急やグリーン車を利用できる(東海道新幹線は利用不可)。利用期間は土・日曜、祝日など。

●南九州DE超回復!きっぷ(JR九州/1万5000円)

熊本・宮崎・鹿児島県のJR九州線が、新幹線を含め連続する3日間乗り放題。普通車指定席も3回まで利用できる。発売期間は9月1日~25年3月22日、利用期間は10月1日~25年3月31日(購入は利用日の7日前まで)。

文・写真/谷崎 竜

「南九州DE超回復!きっぷ」でJR最南端の指宿枕崎線西大山駅を目指そう

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年11月号)
(Web掲載:2024年12月28日)


Writer

谷崎 竜 さん

旅行ライター。1969年、名古屋生まれ。千葉大学理学部を卒業後、バックパッカーで世界五大陸を放浪。帰国後、旅専門のフリーライター・カメラマンとして活動する。著書に「のんびり各駅停車」(講談社)、「青春18きっぷパーフェクトガイド」(イカロス出版)など多数。

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