青春18きっぷの使い方 押さえておきたいポイント(1)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】
東京から新山口駅まで1日で到達できる
JR線の普通・快速列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」。1982年の発売開始以来、格安鉄道旅の定番きっぷとして、幅広い年齢層に支持されてきた。その使い方や、東京・名古屋・大阪を起点にどこまで乗れば得になるのかなどを解説する。2024年3月に北陸新幹線の金沢―敦賀駅間が開業し、変更点もあるので気を付けたい。(文・写真/谷崎 竜)
◆発売期間や値段は?
発売されるのは春・夏・冬の3シーズン。24年度は5月15日現在、春以外は発表されていないが、23年度は年間126日間使用可能だった。
23年度の場合、夏季の発売期間は7月1日~8月31日、利用期間は7月20日~9月10日。期間内ならどの日でも利用でき、利用日が連続する必要はない。JRのみどりの窓口、主な旅行会社などで販売され、一部主要駅の指定券対応タイプの券売機でも買えた。発売期間中なら売り切れる心配はない。
24年度の春も、値段や利用方法は前年までと同様だった。値段は1万2050円(子ども同額)で、1枚で5回(日)分使用できるので、1回あたり2410円となる。1、2回分などバラでは買えない。年齢制限はなく誰でも使える。
券面に5か所の日付スタンプ欄があり、使う際は、出発駅の有人改札口で、券面に日付印を押してもらう(自動改札機は利用不可)。無人駅から乗る場合は、車内で車掌に日付を入れてもらう。1人で5回分を使えるのはもちろんだが、5人までのグループが「同一行程」で使うことも可能(人数分の日付印が必要)だ。
◆乗れる列車と有効期限は?
JR6社の普通・快速列車(普通車)に乗り放題。指定席車の場合は、別途指定席券を買えば利用できる。ライナー券や乗車整理券を買えば「ホームライナー」系統の列車も利用可。途中下車の制限はなく、JR在来線ならどの駅でも、何度でも乗り降り可能だ。鉄道のほか、JR西日本宮島フェリー(宮島口―宮島間)にも乗船できる。
1回分は丸1日(原則として0時~24時)有効。翌日にまたがって運転される列車の場合、0時を過ぎて最初に停車する駅までが有効となる。ただし東京・大阪の電車特定区間(東京―千葉・取手・大宮・高尾駅間など)では、日付が変わっても終電まで使える。現在、青春18きっぷで乗れる夜行列車はない
◆元がとれる距離は?
1回分は2410円相当なので、本州のJR3社の幹線なら、片道で141キロ(2640円)、日帰りでの往復なら片道71キロ(1340円)以上を乗ればお得になる計算。例えば、東京駅から東海道線に乗る場合、片道は吉原駅(沼津駅の4駅先)、往復なら二宮駅以遠まで行けばお得になる。
JR北海道・四国・九州の幹線の場合、本州3社とは運賃体系が異なり、片道で121キロ(JR北海道は101キロ)、日帰りでの往復なら片道51キロ(JR九州は61キロ)以上乗れば、青春18きっぷの方が割安だ。
◆1回分でどこまで行ける?
東京駅を一番列車で出発し、普通・快速列車で西へ向かう場合。スムーズに乗り継げば、10時58分に名古屋駅、14時13分に大阪駅、17時03分に岡山駅、20時27分に広島駅に到着。さらに西へ進めば、日付が変わった0時02分に、山口県の新山口駅に着く。営業キロは1027.0キロで、通常運賃なら1万2870円の行程だ。青春18きっぷ1回分の値段と比べると1万円以上もお得になる。
文・写真/谷崎 竜
青春18きっぷの使い方 押さえておきたいポイント(2)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】へ続く(6/9公開)
●モデルコースは2024年5月15日現在の時刻に作成しました。掲載している路線名は主なものです。
●青春18きっぷの2024年度・夏季用の発表は現時点でないため、仕様や料金が変更になる場合があります。
●「~円お得」は、モデルコースを通常の鉄道運賃・料金で回った場合と、お得きっぷを使った場合との差額です。
●施設の営業時間は、最終入館やラストオーダーがある場合は、その時間を記しています。
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年6月8日)