房総で海の見える駅巡り 思わぬ絶景に出合う【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】
対岸は三浦半島。竹岡駅の跨線橋から左に目をやると、なんと富士山の雄姿が
青春18きっぷ1回利用で2870円お得!
のどかな車窓を楽しみながら、普通列車に揺られ、名前も知らない駅で降りる。一度、そんな鉄道旅をしてみたいと思っていた。そんなとき役に立つのが、青春18きっぷである。夏に行くなら海沿いの路線がいい。房総半島の西側を走る内房線と東側を走る外房線を乗り継ぎ、ぐるりと一周する計画を立てた。
木更津(きさらづ)駅辺りから、車窓は緑豊かなのんびりした風景になる。上総湊(かずさみなと)駅を過ぎると、海が広がった。初夏の光に青々と輝いている。うれしくなって、思わず次の竹岡駅で途中下車した。ホームの脇にこんもりと木々が茂る、物語に出てくるような小さな無人駅だ。古びた跨線橋(こせんきょう)に上がると、東京湾を一望。空が広い。ふと、左手を見て息をのんだ。海の向こうに、くっきりと富士山がそびえている。
ホームや駅舎からも、青く輝く海が見える。駅を出て緩やかな坂を下り、国道を渡ると小さな漁港があった。波は穏やかで、防波堤に腰を下ろし、絵はがきみたいな景色をぼんやり眺めた。
一つ先は浜金谷駅。金谷港からは対岸の三浦半島の久里浜港へ東京湾フェリーが発着している。港を見たくなって、ここでも降りることにした。海岸までは徒歩5分ほど。港の背後には、かつて房州石を切り出していたという鋸(のこぎり)山がそびえる。海の見えるカフェやレストランなども立ち並び、観光の人であふれる。先ほどの竹岡駅とは趣が異なり、それがまた面白い。
内房線をさらに南へ。列車は外房線の上総(かずさ)一ノ宮駅まで直通運転している。たしか勝浦駅の手前の鵜原駅近くに「日本の渚(なぎさ)百選」にも選ばれた、鳥居の立つ美しい海岸が広がっていると聞いたことがある。次はそこを目指すことにした。時折海沿いを通るが、青々と木々が茂る山側の景色もいい。田んぼの緑も鮮やかだ。
鵜原駅も小さな無人駅。屋根のないホームの先にちらっと海が顔を出す。鵜原海岸までは歩いて8分ほど。太平洋の大海原に向かって、凛(りん)とした白い鳥居が立っていた。思わぬ絶景にしばし見とれた。さぞかし夕日もきれいだろう。夏は海水浴場としてもにぎわうそうだ。
房総半島には、まだまだこんな海のそばの駅がありそうだ。青春18きっぷは5回使える。次回はどの駅で降りようか……。
文/高崎真規子 写真/齋藤雄輝
ご当地グルメの人気店
ラーメンえびね
タマネギ、ひき肉などの具にラー油をふんだんに使った勝浦タンタンメンの人気店。辛いがうまみのあるスープはクセになるおいしさだ。写真は勝浦タンタンメン800円。店主1人で営業しているので、調理中は電話に出られないこともある。
■11時~14時30分、17時〜20時/月曜休(臨時休あり)/外房線鵜原駅から徒歩9分/TEL090-2758-1660
●モデルコースは2024年5月15日現在の時刻に作成しました。掲載している路線名は主なものです。
●青春18きっぷの2024年度・夏季用の発表は現時点でないため、仕様や料金が変更になる場合があります。
●「~円お得」は、モデルコースを通常の鉄道運賃・料金で回った場合と、お得きっぷを使った場合との差額です。
●施設の営業時間は、最終入館やラストオーダーがある場合は、その時間を記しています。
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年6月7日)