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復活した只見線完乗と磐越西線でレトロ街へ(1)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】

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復活した只見線完乗と磐越西線でレトロ街へ(1)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】

会津桧原―会津西方駅間に架かる有名なビュースポット、第一只見川橋りょう。夏は川霧が発生することも。沿線にはほかにも様々なビューポイントがある(写真/伊藤岳志)

 

青春18きっぷを2回利用すれば6333円お得!

豪雨災害により運転を休止していた只見(ただみ)線只見―会津川口駅間の運転が2022年10月、11年ぶりに再開され全線がつながった。小出(こいで)駅から会津若松駅まで135.2キロ、越後の田園風景や奥会津の山と只見川が織りなす車窓の景色はこの路線の醍醐(だいご)味だ。これまで機会を逸してきたが、念願の全線乗車に挑戦した。

高崎駅で上越線に乗り換え、水上(みなかみ)駅でさらに長岡行きに乗り換える。水上駅と小出駅には売店がないので、昼食は高崎駅構内で登利平(とりへい)の「鳥めし松弁当」を調達しておいた。鶏もも肉と薄切りむね肉、白米に秘伝のタレが絡み、箸が止まらない。

上州御用鳥めし松弁当[高崎駅]◉900円 群馬県民のソウルフードともいわれる登利平の鳥めし。薄切りむね肉のみの「竹弁当」は780円
上越線を北上。長い新清水トンネルを抜け、土樽(つちたる)駅を過ぎると魚野川の支流・毛渡沢(けどさわ)越しに越後山脈が見える

小出駅に到着したのは13時ちょっと前。4番線ホームに停車中のクリームと朱色の気動車を見て、はやる気持ちを抑えつつ跨線橋を渡る。いよいよ只見線乗車だ。車内は運よく空いており、1人掛けが向かい合うボックス席に腰を落ち着けた。

乗っていた高校生たちも降り、田園地帯を過ぎると民家もまばらに。大白川(おおしらかわ)駅からは末沢川に沿って山間部を走る。いくつかトンネルを抜けると新緑に包まれた田子倉湖。県境を越え、ここから福島県だ。大白川駅から約30分かかって只見駅に到着。停車時間が10分あり、「みんなで応援 只見線」と染め抜いた法被(はっぴ)姿の人たちが乗り込んできた。パンフレットの配布や特産品の販売、観光ガイドをするのだ。

小出駅に停車する只見線の車両、キハ110系
米焼酎ハイボール「ねっかHI」450円は只見駅からの車内販売で

「四季折々の自然の風景と昔ながらの暮らしの様子を楽しんでください」と只見線地域コーディネーターが沿線の魅力をアピール。原則として土曜、休日の只見駅14時35分発上り列車に乗車し、会津川口駅で柳津(やないづ)町観光ガイドの人たちと入れ替わる(※)。

沿線では地元の人たちが手を振る姿が見える。これも応援の一つらしい。只見川には八つの橋梁(きょうりょう)が架かるが、豪雨災害で丸ごと流されたり崩れたりした橋もあった。地元の人たちの只見線復旧への喜びがひしひしと伝わってくる。

会津川口駅を過ぎると只見川に突き出すように、朱色の屋根が美しい大志(おおし)集落が見える。さえぎるものもなく只見川の川面が広がる早戸駅では、手漕(こ)ぎ渡し舟が小さく見えた。川霧が発生する夏は、より幻想的な絶景が楽しめる。

車窓はゆったりと流れる只見川と鮮やかな緑の山容、里の民家など日本の原風景を映し続ける。のどかな気分で、いつまでも列車に揺られていたいと思っているうちに、いつしか列車は終点の会津若松駅に着いていた。

※実施日はX(旧Twitter)の@tadamisenhanbaiで確認を

文/田辺英彦 写真/堀内 孝

復活した只見線完乗と磐越西線でレトロ街へ(2)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】へ続く(6/17公開)

 


●モデルコースは2024年5月15日現在の時刻表を基に作成しました。掲載している路線名は主なものです。
●青春18きっぷの2024年度・夏季用の発表は現時点でないため、仕様や料金が変更になる場合があります。
●「~円お得」は、モデルコースを通常の鉄道運賃・料金で回った場合と、お得きっぷを使った場合との差額です。
●施設の営業時間は、最終入館やラストオーダーがある場合は、その時間を記しています。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年6月16日)

 


Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

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