復活した只見線完乗と磐越西線でレトロ街へ(2)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】
明治時代の水蒸気爆発によって山頂が崩壊した磐梯山をバックに、会津盆地を走る磐越西線(写真/ピクスタ)
城下町・会津若松から蔵造りの街・喜多方へ
復活した只見線完乗と磐越西線でレトロ街へ(1)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】から続く
会津若松に泊まり、翌日は店蔵や大店(おおだな)問屋の風格ある建物が並ぶ七日町(なぬかまち)通りを歩いて七日町駅まで散策。途中、立ち寄った山田民芸工房は、5代目店主の山田賢治さんが奥さんと2人で、起き上がり小法師(こぼし)を手作りしている。400年続く会津民芸品の起き上がり小法師は、縁起物として本来は神棚に飾られるのだそう。
七日町駅舎は大正浪漫(ろまん)風の洋館のたたずまいが目を引く。まちなか周遊バスで会津若松駅まで戻り、磐越西線で喜多方へ。昼食は喜多方ラーメンと決めていた。暑い日に食べるラーメンもオツなもの。日中(にっちゅう)線しだれ桜並木近くの「きくすい」の暖簾(のれん)をくぐった。
当初は定食も出していたが、後に手打ちそばがメイン、3年前にはラーメン一本となった。あごダシが利いたさっぱりとしたしょうゆ味は、王道の喜多方ラーメンだ。
国の伝統的建造物群保存地区・小田付(おたづき)の蔵通りへ足を延ばし、小原(おはら)酒造で酒蔵を見学。専務の小原富美子さんに案内してもらう。もろみにモーツァルトを聴かせて醸造する「蔵粋(くらしっく)」など、伝統を守りながら新しい酒造りに挑む姿を知った。
帰路は磐越西線で郡山駅へ出て、東北線を利用する。磐梯(ばんだい)町駅に着く前から左車窓に会津のシンボル、磐梯山が見えてきて、翁島(おきなしま)駅に近付くにつれ大写しになる山に見入った。4月に登場した観光列車「あいづSATONO(さとの)」は窓が大きく迫力ある山容が見られそう。指定席券(840円)を買えば、青春18きっぷでも乗れる。夏の運行時期が合うなら、早めに予約したほうがいい。
文/田辺英彦 写真/堀内 孝
あいづSATONO
青森で運行していた2両編成のディーゼルハイブリッド車両「リゾートあすなろ」を改造した観光列車で、この春デビュー。下記日程で郡山―喜多方駅間を走る。1号車はテーブル付きボックスシートを中心とした25席のグリーン車、2号車は34席のリクライニングシートの普通車で、どちらも大きな窓が特徴。
■7月~9月の土・日曜、休日に運行。郡山10:05発、喜多方15:32発の1往復。
※6月15日~30日の土・日曜は「さくらんぼSATONO」として山形―左沢(あてらざわ)駅間を運行。
※詳細はJR東日本のHPを参照。
会津の工芸品や味
山田民芸工房
各種起き上がり小法師(200円〜)や風車などを中心に会津民芸品を多数そろえる。起き上がり小法師の絵付け体験(所要30分〜)もできる。
■8時~17時(体験は9時~15時/1200円)/月曜休・不定休/磐越西線会津若松駅または只見線七日町駅から徒歩15分/TEL:0242-23-1465
小原酒造
1717年創業の老舗酒蔵で、純米酒のみを製造。見学(無料)は随時でき、係の人が製造工程を解説する。大吟醸を除く各種の純米酒を試飲できる。
■9時〜16時30分/年末年始休/磐越西線喜多方駅から徒歩30分/TEL:0241-22-0074
きくすい
以前はそば店の作るラーメンとして評判に。昔からの材料を引き算で極めたダシの「ら〜めん」750円。動物系ダシを一切使っていない「Zero(ゼロ)ら〜めん」580円。
■10時〜15時(土・日曜、祝日は7時〜)/祝日を除く水曜休/磐越西線喜多方駅から徒歩20分/TEL:0241-23-2200
●モデルコースは2024年5月15日現在の時刻表を基に作成しました。掲載している路線名は主なものです。
●青春18きっぷの2024年度・夏季用の発表は現時点でないため、仕様や料金が変更になる場合があります。
●「~円お得」は、モデルコースを通常の鉄道運賃・料金で回った場合と、お得きっぷを使った場合との差額です。
●施設の営業時間は、最終入館やラストオーダーがある場合は、その時間を記しています。
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年6月17日)