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【温泉は人生の句読点だ!】ひなびた温泉街で〝アレ〞ができちゃうシアワセよ! プハー! ぎょうざの満洲 東明館 <老神温泉・群馬>

場所
> 沼田市
【温泉は人生の句読点だ!】ひなびた温泉街で〝アレ〞ができちゃうシアワセよ! プハー! ぎょうざの満洲 東明館 <老神温泉・群馬>

いい湯なんですよ、老神温泉の湯は。それを源泉かけ流しで堪能できる。この湯につかれば、金子梅吉さんが異業種にもかかわらず熱い想いで再生させたわけが体でわかる。湯上がりに、確実にうまいビールと餃子を好きなだけ堪能できるのだ。それだけの目的で行っても後悔しない、希有な宿なのだ

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プロフィール
岩本薫(いわもとかおる)

1963年東京生まれ。温泉研究家、作家、エッセイスト。温泉研究家といってもひなびた温泉にしか興味がない偏愛志向。主な著書に『もう、ひなびた温泉しか愛せない』『つげ義春が夢見た、ひなびた温泉の甘美な世界』『ヘンな名湯』『もっとヘンな名湯』(以上、みらいパブリッシング)『ひなびた温泉パラダイス』(山と溪谷社)等。メディアにも多数出演。ひなびた温泉マニアのグループ「ひなびた温泉研究所」のショチョーでもある。

温泉の後のビールと餃子はサイコーにうまい

温泉の後のビールと餃子(ぎょうざ)はサイコーにうまい。異論はないだろう。湯上がりの体に冷えたビールを一気に投入して、間髪入れずにアツアツの餃子を頬張る。うま!まさに魅惑のトライアングル、うまさとシアワセの波状攻撃だ。ワタクシなんぞはそのよろこびを味わいたくて、わざわざそのためにスーパー銭湯とかの温泉につかってから町中華に行っちゃうぐらいである。

コレを、ワタクシが大好きなひなびた温泉街なんかでやろうとすると、できそうでなかなかできなかったりする。それというのも、ひなびた温泉街はメジャーな観光地的な温泉街とは違って飲食店が実に少ない。ゼロなんていうのも珍しくはない。都合よく町中華なんかないわけですよ。

ところがどっこい!それが思う存分できるひなびた温泉街がある!

しかも宿の中でそれができちゃうわけで、湯から上がったばかりのマックスにぽっかぽかの状態で、うまさとシアワセの波状攻撃を受けることができる。しかも湯もスーパー銭湯とかの温泉なんかと比べ物にならない、源泉かけ流しのガチな湯治の湯なのだ。そう、湯と湯上がり感がよければよいほど、その後のビールと餃子のうまさも一緒に底上げされるんだなぁ。

え〜、群馬県の老神(おいがみ)温泉といえば、古くから皮膚病に効く湯が評判の湯治場だったりするけれど、ここに餃子屋さんが経営している温泉旅館があるんですね。その名も「ぎょうざの満洲 東明館(とうめいかん)」。あなたが埼玉県人だったら、おそらくこの店名に「お!」と反応するんじゃないだろうか。そう、「ぎょうざの満洲」は埼玉を中心に展開する人気のローカルチェーン店なのである。

思い出の温泉旅館を買い取って……

そもそもなんで「ぎょうざの満洲」が群馬で温泉旅館を経営しているのか? 東明館は経営が立ち行かず廃業の危機に瀕した旅館だったんですね。そして老神温泉がある沼田市は、実は「ぎょうざの満洲」創業者の金子梅吉さんの故郷で、東明館は子どもの頃、新聞配達の際によくお風呂に入れてもらっていた思い出の旅館であり、大好きな名湯でもあったから、自分が買い取って再生させようと、15年前にリニューアルオープンさせて現在の「ぎょうざの満洲 東明館」となった。

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入り口は一見、「ぎょうざの満洲」の店舗にしか見えない。知らない人はフツーに餃子を食べに入ってしまうかもしれないが、食事だけの利用ももちろんOKなのだ

というわけで温泉の後にビールと餃子をサイコーに楽しめる温泉旅館が誕生したわけだけど、ところでみなさん、なんで温泉の後のビールと餃子はあんなにうまいのか知ってますか? え? 知らない? ボォーッと生きてんじゃねーよ!

あ、うそうそ。ちょっと言ってみたかっただけです、スンマセン……。

うまさのワケ。それは温泉につかると汗をいっぱいかくので、体の水分と塩分が失われるんですね。そんな状態の体の中を、キリッと冷えたシャープな液体であるビールが駆け抜け(ま、ここまではわかりますよね?)、さらに餃子が塩気をおいしく補給してくれる。そのうえ、餃子の脂っこさをビールが爽やかに洗い流してくれて、そこにまた餃子のうまみがじわっときて……と、うまさの相乗効果のスパイラルが続いていく、と。それだけでなく温泉で血行が良くなると、味を感じる舌の味蕾(みらい)も血液が行き渡り細胞も活性化して、味覚も研ぎ澄まされるんです。だから温泉、ビール、餃子は魅惑のトライアングルなんです。

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皮はもちっとしていて餡がパンパンに詰まった餃子は、毎日食べても飽きないおいしさ

さて、ソレをサイコーに楽しめる「ぎょうざの満洲 東明館」が誕生したのは、思えば奇跡なのかもしれない。だってねぇ、たまたま廃業の危機にあった温泉旅館があって、たまたま老神温泉が故郷の金子梅吉さんがいらっしゃって、それが、たまたま、餃子のチェーン店で大成功した実業家であって(つまり再生させる力があった人であって……)、う〜ん、してみるならば、それは〝たまたまのトライアングル〞によって誕生した、〝魅惑のトライアングル〞な温泉旅館と言えるのではないか。いや、この際、そう言ってしまおうではないか。こんな温泉旅館、ほかにはないですから。

さて、最後に極めて個人的なことをひとつ。このエッセイを書くために「ぎょうざの満洲」の歴史を調べていたら、「ぎょうざの満洲」は、もとは1軒の町中華のお店「満洲里」が始まりで、昭和の東京オリンピックの年に埼玉県所沢市の緑町4丁目にオープンしたっていうんですから、びっくり!あ、実はワタクシはですねぇ、そこから目と鼻の先って言ってもいい隣の3丁目で育ったんです。言われてみればそんなお店があった気がする、いや、確かにあったかも! と。そんな、図らずも、まさかの「ぎょうざの満洲」発祥の地で育ったワタクシが今、このエッセイを書いているという……因果? ワタクシ、なにかに導かれてこれを書いたのかな?

文・写真/岩本 薫

♨今月のひなびた温泉

ぎょうざの満洲 東明館 (老神温泉・群馬)

◎料金:1泊朝食9050円〜(夕食は館内の「ぎょうざの満洲」で)、日帰り入浴700円
◎泉質:単純硫黄泉
◎アクセス:上越線沼田駅からバス37分、老神温泉下車徒歩10分/関越道沼田ICから15キロ

◎住所:群馬県沼田市利根町大楊1519 -2
🆓0120-56-2641


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2026年1月号)
(Web掲載:2026年2月24日)


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