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日本とほぼ同じ広さ、東ヨーロッパのルーマニアってどんな国?(2)

場所
> ブラショフ
日本とほぼ同じ広さ、東ヨーロッパのルーマニアってどんな国?(2)

ブラショフ旧市街

日本とほぼ同じ広さ、東ヨーロッパのルーマニアってどんな国?(1)から続く

前回は首都ブカレストとおいしいルーマニア料理の数々を紹介した。今回はルーマニアのほぼ中央に位置し、カルパチア山脈に囲まれる古都ブラショフと、ドラキュラ居城のモデルとされるブラン城を案内する。

中世の面影残る古都・ブラショフとドラキュラ伝説のブラン城

ブラショフは12世紀にハンガリー王の要請で移住したドイツ系移民によって築かれ、ドイツ、ルーマニア、ハンガリーの3民族により発展した。旧市街の中心はスファトゥルイ広場で、現在は博物館になっている旧市庁舎や噴水、ドイツ風の重厚で色彩豊かな建物が並ぶ。広場には屋台が店を広げ、メインストリートのレプブリチ通りには多くの飲食店や土産物店がある。まるで絵本のなかの中世の世界に紛れ込んでしまったかのような街並みは、歩いているだけで楽しい。

お土産探しもぜひこのあたりで。ルーマニアはEUに加盟しているが、通貨はユーロではなくレイ(1レイは約35円)。ユーロほど円安を感じないのも嬉しい。名産の蜂蜜や繊細で美しい刺繍がデザインされた可愛い民族衣装、伝統的な陶器、さらに基礎化粧品の「ジェロビタール」なども。ジェロビタールはチャウチェスク政権下、国家プロジェクトとして開発が進められたアンチエイジングのための化粧品で、現地では手頃な価格で入手できる。

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昼も夜も雰囲気がいいスファトゥルイ広場周辺

スファトゥルイ広場からは、トゥンパ山に設置されているブラショフサインを眺めることができる。ハリウッドサインのブラショフ版で、トゥンパ山からは赤い屋根で埋め尽くされた旧市街を見晴らせる。

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ブラショフサイン

スファトゥルイ広場の近くにあるのが、黒教会と呼ばれる荘厳なゴシック様式の教会で、1689年、ハプスブルク軍隊の侵略により、火事で外壁が黒焦げになったことからその名がある。教会内には4000本のパイプと四つの鍵盤を備えるルーマニア最大のパイプオルガンが設置されている。

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黒教会

ブラショフは城壁に囲まれた要塞都市で、市街地を守るようにスケイ門、エカテリーナ門などがある。かつてはこの門を境に内側にはドイツ人入植者、外側は追いやられたルーマニア人と、住み分けられていた。ルーマニア人居住地区には、ブラショフで最も古いルーマニア正教会の聖ニコラエ教会がある。取材時は外観が修復中だったが、内部にはイコン(信仰の対象として描かれる聖人や聖書の場面などの宗教画)が飾られ、神聖な雰囲気が満ちていた。敷地内にはルーマニア初の学校もある。

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(左)スケイ門(右)エカテリーナ門

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(左)残念ながら修復中だった聖ニコラエ教会(右)外観(写真/AC

ドラキュラが住んでいた??ブラン城の正体

 「吸血鬼ドラキュラ伝説の国」と、ルーマニアの印象をそう表す人も多いのではないだろうか。19世紀末にアイルランド人、ブラム・ストーカーによって書かれた小説「吸血鬼ドラキュラ」。その主人公ドラキュラ伯爵はルーマニアのトラシルヴァニアに居城がある貴族という設定で、モデルとされているのは14世紀に建国されたワラキア公国のヴラド3世。父であるヴラド2世が「竜公(ドラクル)」と呼ばれ、その子供を意味する竜の子=ドラクレア(英語でドラキュラ)と呼ばれたことに由来する。ヴラド3世はオスマン帝国に屈することなく、敵兵を串刺しにしても徹底抗戦をしたことから串刺し公の異名もあるが、小説のドラキュラはあくまでもフィクションである。

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ヴラド3世

ブラショフから南東へ約30㌔にあるブラン城は、ドラキュラ城として観光名所になっている城だが、ヴラド3世が居城にした事実はなく、祖父のヴラド1世が住んでいた。しかし、岩山の上にそびえ立ち、オスマン帝国の侵略に対する防衛拠点として造られた堅固な風貌は、ドラキュラ伝説の中に登場するような怪しげな雰囲気も感じるから不思議だ。

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ブラン城

内部は陶器や家具、武具甲冑(かっちゅう)のコレクションが展示され、優美な部屋も。これは20世紀に入り、ブラン城がルーマニア王妃マリアのお気に入りの城となり、水道・電気などを通して現代的な邸宅へと改修したためだ。狭い通路を歩き、塔の上に登ると、最上階からは周辺の山々が見晴らせ、気持ちがいい。また回廊に囲まれた中庭からは、複雑な建築様式も見て取れる。

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(上2点)内部の展示風景(左下)回廊から中庭を見下ろす(右下)塔の上からの景色

ブラン城は文化財としての価値と、ドラキュラの知名度を上手に取り入れた観光戦略をあわせ持つルーマニアの貴重な財産。訪れる人にさまざまな想像を与えてくれる。

2回にわたりご紹介したルーマニア。もっと深掘りすれば、まだまだ知らない魅力があふれ出る、そんな印象を強くした、初訪問の国であった。

文・写真/関屋淳子

<旅のインフォメーション>
交通/日本からの直行便はない。パリやフランクフルトなど、ヨーロッパの大都市経由でブカレストの国際空港 「オトペニ空港」へ。
時差/日本より6時間遅れ
ビザ/観光目的の場合、90日以内の滞在であればビザは不要。ただし、入国時にパスポートの残存有効期限が180日以上残っていることが必要
通貨/レイ 1レイ=35円(2026年5月現在)
気候/ブカレストの年間平均気温は夏季約20度、冬季約1


(Web掲載:2026年5月27日)


Writer

関屋淳子 さん

ウェブマガジン「旅恋.com」編集長。フリーランスを経て2010年に(株)旅恋を設立。生活情報誌、書籍、ウェブの編集や執筆、テレビ番組のナビゲーターなどを行う。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員(厚生労働省認定)

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