トップ・オブ・ヨーロッパへ 標高3454メートルを目指す華麗なるユングフラウヨッホへの旅
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ヨーロッパ最高地点の鉄道駅となるユングフラウヨッホ駅まで結ぶユングフラウ鉄道
世界的に知られるスイスの山岳リゾート・ユングフラウ地方。鉄道やゴンドラなどでラクラク標高約3500メートルの世界へ。手軽にアルプスの山々の絶景が楽しめる。冬場は稜線がくっきりと美しく、クリスマスのあたたかなムードが広がる。グリーンシーズンに比べてゆっくり過ごせる真冬のユングフラウヨッホの魅力を紹介する。
高速ゴンドラで一気に標高2320メートルの駅へ
ユングフラウ地方はスイス中央部にある山岳リゾート。世界遺産に登録されるアイガー、メンヒ、ユングフラウの三山がそびえるアルプス観光のハイライトである。ここに標高3454メートルに位置するヨーロッパ最高地点の鉄道駅・ユングフラウヨッホ駅がある。
まずは、アルプス観光の玄関口である山麓のインターラーケンから鉄道でグリンデルワルト・ターミナルへ向かう。

グリンデルワルト・ターミナル
ユングフラウ鉄道の敷設工事は1896年から始まった。しかし硬い岩盤をつるはしやドリルで掘る工事は難航を極めた。財政難も重なり、工期9年の予定を大幅に上回り、全線開通したのは1912年。当時、イギリスでの産業革命を機に交通網が拡大し、ヨーロッパは大旅行ブームに。アルピニストにとって憧れの地・アルプスは、誰もが気軽に楽しめる鉄道による観光登山が実現し、現在まで続いている。
これまで、ユングフラウヨッホ駅へはこの歴史ある鉄道を乗り継いで向かっていたが、2020年に新路線の高速ゴンドラ、アイガー・エクスプレスが誕生。この最新式のロープウェイはユングフラウ鉄道中間駅のアイガーグレッチャー駅までの6483メートル、標高差1385メートルをわずか15分で結び、より快適な移動が実現した。トンネルが多い鉄道での移動は思ったほど景色が見えないが、全面ガラス張りのゴンドラからはアイガー北壁や周辺の村々の景観が楽しめる。

ダイナミックな景観が楽しめるアイガー・エクスプレス
アルプスの絶景が広がるトップ・オブ・ヨーロッパ
アイガーグレッチャー駅でユングフラウ鉄道に乗り換え、ユングフラウヨッホ駅へ。途中のアイスメーア駅(5分ほど停車)には展望窓があり絶景も楽しめる。

アイスメーア駅の展望窓
そしてユングフラウヨッホ駅に到着。日本でいえば富士山の八合目の標高とほぼ同じだが、あっという間の道のりだ。ただしここは高山。早歩きや走らぬように気を付けてゆっくり行動したい。
駅に隣接する複合施設がユングフラウヨッホ トップ・オブ・ヨーロッパ。エレベーターでスフィンクス展望台へ向かう。標高3571メートルの展望台は氷河から突き出た岩の先端にあり、東にメンヒ、西にユングフラウ、南にはヨーロッパアルプス最長のアレッチ氷河の大パノラマが広がる。テラスに出れば爽快感は最高潮に!ただし取材日の外気温は-11℃、年間平均は-7.9℃という。

ユングフラウヨッホのスフィンクス展望台 ©jungfrau.ch

目の前には世界遺産アレッチ氷河が続く

テラスにはクリスマスツリーが。高所で暮らすキバシガラスの姿も
施設内にはアレッチ氷河の中をくり抜いて造った氷の宮殿・アイスパレス、ユングフラウ鉄道の歴史などを伝えるアルパイン・センセーション、レストランやチョコレートショップなどの土産物店がそろい、歩いて見て回ることができる。

アイスパレスには随所に氷の彫刻がある

過酷な鉄道工事を伝えるアルパイン・センセーション
また、ユングフラウ鉄道乗車記念パスポート(現地で入手可)の訪問証明書ページにスタンプを押せば旅の記念になりおすすめだ。さらに、施設内には富士山五合目の簡易郵便局との姉妹提携を結んだことから、日本の赤いポストが置かれており、ヨーロッパのてっぺんから葉書を出してみるのも思い出に残る。

訪問証明書ページにスタンプを

昔懐かしい赤いポストも設置されている
グリーンシーズンは多くの観光客でにぎわい、鉄道もゴンドラも列ができ、展望台も写真撮影の順番待ちのような状態になるが、ウィンターシーズンはゆっくりと絶景を楽しむことができる。クリスマスシーズンらしいデコレーションも多く、フォトスポットも充実。スキーヤーでなくても観光登山の魅力を存分に味わえるのがユングフラウヨッホである。

こんなフォトスポットも
取材協力:スイス政府観光局、ユングフラウ鉄道グループ
取材・文/関屋淳子 写真/竹崎恵子
(Web公開:2025年10月25日)


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