新旧が交差するアートの街 ウィンターシーズンに訪ねたいスイス・バーゼル(1)
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バーゼル旧市街
知られざる文化・芸術の中心地、スイスのバーゼル。美術館や博物館が多いだけでなく、街のあちらこちらでアート作品を見ることができる。スイス最大規模と言われるクリスマスマーケットで盛り上がりを見せる冬に訪ねてみた。
古い街並みの随所に現代アートが点在するバーゼル
チューリヒ、ジュネーブに次ぐスイス第3の都市、バーゼル。スイス北部のライン川沿いに位置し、スイス・フランス・ドイツの国境が集まる街で、バーゼル駅はスイス国鉄に隣接してフランス国鉄の駅があり、パリまでは最短で約3時間。なんと、トラムや徒歩で国境を超えることができる街だ。
バーゼルは中世には世界最古の大学ができ、学芸や文化の中心として発展した歴史がある。現在も30を超える美術館・博物館があり、古い街並みの随所に現代アートが点在し、歩いているだけでも楽しい。

街を歩けば随所にアートが

おしゃれなバーの前の壁には有名ミュージシャンが描かれる
この街を堪能するならばだんぜん、冬がおすすめ。スイス最大規模のクリスマスマーケット(2025年は11月27日~12月23日)が開催され、街を彩るイルミネーションが華やかな気分にさせてくれる。そんな魅力あふれるバーゼルの歩き方を紹介する。
旧市街で楽しむフォトジェニックなポイント
まずはライン川に沿って中世の建物が並ぶ旧市街を散策。駅から旧市街へは徒歩でも移動できるがトラムが便利だ。トラムは一日乗車券などのチケットがあるが、スイストラベルパスがあれば国内の主な鉄道や湖船、高速バスだけでなく市電や市バスといった都市交通も乗り放題なのでスイス旅行の力強い味方になってくれる。
旧市街で立ち寄りたいのはゴシック様式のバーゼル市庁舎。14世紀からの歴史があり、大きな時計塔と赤い壁面に描かれたフレスコ画が特徴で、市庁舎前のマルクト広場では市場が開催される。クリスマスシーズンには巨大なツリーも出現!

赤い壁面が印象的なバーゼル市庁舎
市庁舎と並ぶ観光ポイントがバーゼル大聖堂。現在の建物は14世紀に起きた地震での崩壊後、ゴシック様式で再建された。美しいステンドグラスやロマネスク様式の回廊が見どころである。また展望スペースからはライン川対岸の景色も見渡せる。

ふたつの塔があるバーゼル大聖堂。塔に上ることができる
もう一つ、訪ねてみたいのがティンゲリーの噴水。バーゼル市立劇場の前庭に作られた噴水公園で、スイスの現代彫刻家・画家であるジャン・ティンゲリーによる10の個性的な機械式彫刻が設置され、さまざまな「水遊び」が表現されている。まるで噴水のステージを見ているかのようだ。

廃材で造られた動く彫刻
知的好奇心を満たす個性的なミュージアム
バーゼルにある質・量ともに充実する美術館のうち、ぜひ訪ねてみたい美術館がバイエラー財団とティンゲリー美術館。バイエラー財団は20世紀のアートを収集したバイエラー夫妻のコレクションの美術館で、ゴッホやセザンヌ、ピカソなど著名な作品が多く展示されている。取材時はちょうどマティス展が開催中。大きくとられた窓の外には中庭が広がり、ゆったりとした気持ちのいい空間でさまざまな作品が堪能できる。

中庭のあるバイエラー財団

マティスの特別展
ティンゲリーの噴水でも紹介したジャン・ティンゲリーは1960~80年代に活躍したスイス人芸術家。ティンゲリー美術館の常設展示では初期から晩年に至る作品を展示、その多くはキネティック・アートと呼ばれる動く美術作品。捨てられた家電や機械の一部などの廃材を組み立てたものだ。ボタンを押すと動き出し音が出る、時間が来ると楽器のように不思議な音楽を奏でる、また巨大な作品の中を歩けるなど、遊び心があふれるものばかりで、時間を忘れ老若男女が楽しんでいる。美術館の前庭には、妻である芸術家のニキ・ド・サンファルのアートも配されている。

手前右がニキ・ド・サンファルの作品
巨大なアートは一部進入可能

楽器?のような作品
バーゼルは美術館はもとより、街中にアートがあふれ歴史的な街並みとよくマッチしている。後編ではスイス最大規模といわれるバーゼルのクリスマスマーケットを紹介する。
取材協力:スイス政府観光局、バーゼル観光局、ユングフラウ鉄道グループ
取材・文/関屋淳子 写真/竹崎恵子
ウィンターシーズンに訪ねたいスイス・バーゼル(2)へ続く(10/24公開)
(Web公開:2025年10月23日)


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